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Season8 Act1 帰還

ザ・オキュラス: 復活の聖殿

ザ・オキュラス: ストーリー

ザ・オキュラス: 復活の聖殿
(The Oculus : Sanctuary of Rebirth)

ザ・オキュラス。「世界を投影する目」という意味で、遥か昔から黒妖精に伝わる伝承に登場する場所だ。
黒妖精の伝承によると、空よりも高い場所にいる存在が自分の分身を閉じ込めたん場所らしい。
「グリムシーカー」はそこを占領して聖地とし、「偉大なる存在が復活する場所」と称して何らかの儀式を行っている。

予言者エスラ (Prophet Ezra)

男は深い憂いに浸っていた。
深くて暗い仮面の裏には、得体の知れない歪んだ表情。
たった今、2人の親友が殉教のため帝国の鉱山の街へ旅立って行った。
2人に迷いは無かった。むしろ、男に安心しろと言うように微笑んで出て行った。

長い時間だった。
最初に7人が集まって滅亡の預言を知った時、運命の導きを感じた。
皆のためにより多くの力を受け継いだ自分が首長となることにし、グリムシーカーを起こした。
多くの試練と逆境があったが、勢力は次第に増えていく。
ベルマイア公国はもちろん、デ・ロス帝国やスジュ、そしてフェンネス王国の国境まで教えが拡がっていった。
だが、限界があった。グリムシーカーはどんどん極端な傾向を表し始め、それが足かせとなった。
その時、「アゼリア・ロット」という女性が現れた。

彼女は滅亡の預言を知っており、さらにはそれを防ぐ方法を示したのだ。
そのために「ソルドロス」という者と「ジェネシス」という神物まで用意したという。
男は首長の座を彼女に明け渡し、同じ意志を持つ彼女に従うことにする。
迷う理由はなかった。だが……
「アゼリア様が小輪に……」

訃報が飛び込んできた。「使徒」を守るためにこの世界に来た彼女が、同じグリムシーカーの手にかかった。
滅亡の用言を阻止するための全ての計画が灰になり、準備してきた歳月が崩れ去った。
男は心の中で絶叫した。様々な思いが頭の中で交錯する。
闇の中を彷徨いながら答えを探そうとした。そして長い時間を経て、一つの答えを見つけ出した。
「これだけが空よりも高い場所にいる彼女に対抗する、唯一の方法だろう……」
「グリムシーカーは全員終結せよ。」

再び、現在。
男は顔を上げた。
2人の親友が向かった場所には、グリムシーカーの残りの信徒たちが集まっていた。
自分だけを見つめている哀れな信徒たち。彼らもアゼリア様の死を聞いたのだろう……。
それでも彼らの眼差しは死を超えて使命を果たそうとする熱望に満ちていた。
短い瞬間の迷いを振り払った男は、柔らかく響く声で皆に伝えた。
「犠牲は無駄にならないだろう。」

皆が決意と共に旅立った。すぐに自分も出発しなければ。
空っぽになった聖地に1人立ち尽くしていた男は、深い深淵に姿を消していった。

赤鬼小輪 (So-Ryun, The Crimson Specter)

うずくまった小輪は不意に浮かび上がる記憶に下唇を噛んだ。
切れた唇からにじみ出る血が放つ鉄のような匂いが、鼻を刺激する。
「クソッ……」
長い時間が経ったので大丈夫だろうと思ったが、向き合った現実はそうではなかった。
両親を殺した憎らしい力が体の中に入り込んだあの場所、「悲鳴の洞窟」。
多くの時間が流れて別の姿に変わっていたが、記憶に残る悪夢が消えることはない。
中に一歩踏み入れる度に恐ろしい場面が浮かび上がっていく。
「……違う……あれは……」
1日たりとも忘れたことのない、憎悪の記憶。数年たった今でも癒えない傷。
小輪は裂けた唇をぬぐい、「彼女」の手の跡が聖痕のように鮮やかに残る顎を撫でた。
「しっかりしろ……この憎しみを……この恨みを……!」
そうしてしばらくすると、ゆっくり……とてもゆっくりと震えが止まっていった。
すでに抜かれた剣は軌跡を描いて飛んで行き、血は流れ落ちて床を濡らした。
もう後戻りはできない。いや、後戻りしてはならない。
1つを成し遂げるために、全てを飲み込むだけだ。
「小輪」
柔らかい女性の声が、物思いに耽る彼女の耳に飛び込んできた。
小輪は顔を上げて自分の前に立っている女性を見つめた。
両親を失ったあの日から、ずっと一緒にいた人物。
まるで母のように幼いころの自分を包んでくれた人。
今は「グリムシーカー聖域」を守っているという7人の支部長の一人。
「黄昏のミラージュ。エルブンガードの鍛冶屋が教えてくれた道で合ってた。やっと……やっと……」
「取り返しのつかないことをしたのね。今からでも止めなさい。そうすれば、予言者様に……」
小輪がふらつきながら一歩前に踏み出した。表情は歪み、息は荒い。
その場の全てを飲み込んで沁み合いそうな威圧と渇望、そして狂気が溢れ出ていた。
「……黙れ……あなたに何が分かる……」
「小輪」
ミラージュは直感した。彼女が望むのが何なのか、そして自分に会いに来た理由も。
「……哀れな子……」
ミラージュは自分に近付いて来る小輪を見つめながら、仮面に隠れた悲しい微笑みを浮かべた。

青面修羅 ローズベリー・ローン (Roseberyron)

よくいる冒険者の1人として細々と稼ぎながら家族を養っていた。
だが、年を取ってから与えられた呪われた鬼手は、一瞬で全てを飲み込んでしまった。
愛する娘や妻までも。
そして彼は、青い仮面で自分の顔を覆った。
すべてを奪った鬼手を制圧する方法を探し求めて、長い時間彷徨い続けた。
毎晩、目の前で妻と娘が死んでいく悪夢に襲われ、日を追うごとに死の沼へとはまっていった。
そんなある日、偶然悲鳴の洞窟で起こった事件に巻き込まれる。
青い仮面をかぶるようになってから、初めて信頼できる人ができた。
そのおかげで娘と妻を失って以来、初めて声を出して笑うことができた。
だが、長くは続かなかった。
悲鳴の洞窟の奥深くで出会った「ミスト」の剣士を名乗る者によって、夢は無残にも覚めてしまったのだ。
1人だけ、生き残った。
ミストの剣士は止めようとする自分を避けながら、仲間たちを1人ずつ殺していった。
そして、自分の体に無数の傷を残して、忽然と消えてしまった。
徹底的に蹂躙された彼は、1人で残されたまま、仮面の向こうに拡がる地獄よりも恐ろしい現実を見つめた。
また、生きる意味を丸ごと失ってしまった。
その時。
体の中から得体の知れない気運と共に、一連の記憶が流れ込んできた。
地面に放り出されていた剣を握って立ち上がり、惑わされたかのように足を進めた。
そこで自分とは違うようで同じ、六人に出会うことになる。
その中に、「あの子」がいた。死んだ娘によく似たあの子が……。

「ローズベリー・ローン」
巨大な響きに物思いから連れ戻された彼は、顔を上げた。
昔は村人だった、今は皆を率いる男がそこに立っていた。
「君の苦労は皆が知っている。ノースマイアであったことも、
そしてそこで犠牲になり、数多くの次元を彷徨ってきたことも。」
響くように聞こえてくる声は柔らかかった。だが、だからこそ、その重みを感じた。
「だが、あの子への責任もまた君にあるということも、皆が知っている。」
彼は男が何を言うつもりなのか、直感した。
「君の手で解決するといい。そして……」
自分に向けて明るい笑顔を向ける、死んだ娘の姿が思い浮かんだ。
長い歳月の恋しさが、全身に貼り付いている気分だった。
「君も皆のために……」
男の響く声が、もう一度柔らかく体に押し寄せる。
当然背負うべき罪を、両肩にずしりとのしかかった。
男の言葉が終わると、しばしの沈黙が二人の間に流れた。
黙々と男の言葉を聞いていた彼が、ゆっくりと口を開いた。
「……下された命令を、重く受け止めます。」
死んだ娘の上に、あの子の幼いころの姿が重なった。
自分に向けて明るく笑うあの子の姿が……。

毒王ルイゼ (Luise, the Poison King)

いつからかって?
ほら、あれだよ。悲鳴の洞窟事件。
そう、あの時からだよ。
望んだわけじゃないけど、こうなったのは。
ハハハ。
笑ってる場合かって? 笑うしかないでしょ?
どうせ生まれた時からどん底の人生なんだし。
小さな幸せを望んだこともあったけど、とっくに諦めたよ。
むしろ、使命でもあった方が価値があると思わない?
辛い人生だったけど、アンタたちに会えたのは幸運だったのかもね。
それから、パリス……。
……なんでもない。聞かなかったことにしてよ。
もうこんな時間か。
もう行かないと。使命ってのを果たしにさ。
ああ、そうだ。このことはパリスには言わないでよね。
バレたらどうするのかって?
ハハハ、まあ……どうにかなるよ。
小言を聞くのには慣れてるし。だから大丈夫。でしょ?
じゃあね。
最後に話せて楽しかったよ、ゲイル。

巡礼者の安息所 (B1~B3)

真実の祭壇へ向かう場所。
ザ・オキュラスへ巡礼に来たの信徒たちが永遠の休息を得る場所だ。
予言者エスラは世界の滅亡を阻止するために与えられた使命を背負う者たちのために悲しみ、彼らの念願と悲しみが宿るこの場所を巡礼者の安息所と称した。

真実の祭壇 (B4)

グリムシーカーの最後の儀式が行われている場所。
予言者エスラはこここそが全ての犠牲を込めて生命の滅亡を阻止するという使命を完遂するべき場所だとした。
グリムシーカーの穏健派と呼ばれる全ての信徒はここで行われる儀式の成功を祈り、一方では連合軍を阻止し、もう一方では犠牲となって儀式の供物となることをためらわない。

「ようやくここで全ての真実が暴かれるだろう。」
-真実の祭壇に到達した予言者エスラ