Season6 Act5 任務開始

秘密エージェントとして活動していた頃、敵対勢力に捕虜としてつかまったことがある。
何週間も続いた拷問は私の口を開くことに失敗したが、
生きる意欲を放棄させるには十分だった。
最後まで任務を成しとげて死ねることが唯一の慰めだったのさ。
秘密エージェントとして恥ずかしくない最後だと思ったよ。

そして……幻覚剤でも飲まされたのか? 気が付いたら上官が目の前にいた。
生還に失敗したエージェントに暖かい視線を向ける……、
幻覚とはいえ、かなり美化された上官だったな。

「敵に身元がバレた以上、君の立派な実績もここまでだ。」
彼は立派だと言った。なぜ誉めるかわからないが、
しゃくに障る口ぶりまでゾッとするほど上官そのものでな。

毛布を一枚被され、支えられながら歩きだした時、
ようやく放棄したはずの生きる意欲が戻って来たことを実感したんだ。
後になって初めて、
彼が私の救出のために捕虜交換交渉を妥結させたということを知ったんだがな。

おもしろい話だったか? だが……。
今思えばあの数週間は実は私の忠誠心を試すための舞台だったのかもしれない、と思うんだ。

十分休めたか?
では、そろそろ審問を執行する。

- エンフォーサー、敵対組織心臓部の密室にて