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Season9 THE NEXT JOURNEY

最高レベル拡張

破壊された死者の城

じゃじゃ馬ベッキー(CV:前田恵)

息が詰まったような気分。
最初は目をこすった。見間違いかなって。
その次は頬をつねった。これは夢じゃないかなって。頬が赤く腫れあがった。
頬がちょっとひりひりし始めた頃、両目に涙が浮かんだ。

「ゴルク…?本当にゴルクなの?」

目の前に立っているのは、死んでしまったと思っていたゴールドクラウン。
じっと見つめるピエロの視線は、妙に歪んでいた。
口元に浮かべた微かな微笑みにゾッとして鳥肌が立ったが、視線を避けることはしなかった。
そんなことをしたら、ゴルクが傷つくかもしれない。再会した大事な友達を失いたくなかった。

「プレゼント?」

ゴルクが差し出したパチンコを受け取ると、頭がくらくらした。
破片のように跳ねあがった記憶が、けたたましい警報音を放っている。
その記憶の中にはゴールドクラウンもいたし、あの方もいた。悲しかった。嫌だった。
死者の城に誰も来なくなってから長い時間が経った。一人で過ごす時間はとても孤独だった。
パチンコなんか、投げ捨ててしまいたかった。ずっしりと重みのあるパチンコが、苦しい記憶の重量を物語っているようだった。

「何?誰がくれたんだって?」

耳を疑った。聞き間違いかと思って耳を何度もこすってから、もう一度言ってと駄々をこねた。
鳥肌の立つような恐怖心は一瞬で消え去った。満面の微笑みが浮かぶ。
パチンコをぎゅっと抱きしめた。部品の一つ一つを大事そうに撫でる。

「これで城を守ればいいのね?」

パチンコを握りしめた。新しい命令だった。もう一人じゃない。
誰も、誰一人死者の城に入れないと誓った。
戻ってきた大事な存在を守り抜いてみせる。
あたしは命令を完璧に遂行するカッコいいホムンクルスだから。

深淵を歩く者(CV:濱野大輝・阿座上洋平)

漆黒の闇の中、二竿の剣身だけが光を放つ。
ここは券の境地を超えるために到達した内面の空間なのか?
それとも、単なるあの世か?

場所などどうでもいい。
私の剣はまだ悟りを渇望しており、
この肉体は剣を握っているのだから。
親友の境地を超えるために、この肉体が引き裂けるまで剣を振るうだろう。

振るうのは剣であり、私の意志。
動くこの肉体は色褪せることのない信念であり、私の闘志なのだ。
ただ剣を握っているだけ十分だ。

「クククッ…都合よく脚色しているようだが、結局はお前も殺人鬼に過ぎない。」

何者だ。
お前は敵か?

「ククッ…分からないのか?もう私はお前なのだ。」

姿を現して、正々堂々剣を合わせろ。
闇の中に隠れている軟弱な影よ。

「姿を現せって?クク…お望みならば…」

視野が赤く染まる。
真っ暗い空間が血に揺れた。
力に対する渇望と殺意への欲望が、全身で沸き立ち始める。

「ククッ、そうだ…この感覚、この感触…すぐに何か斬らないと頭がおかしくなりそうだ。」

私の肉体から、私の意志とは異なる言葉が漏れてくる。
私の信念は異なる歪んだ一閃が虚空を血に染める。
そうだ…ここは地獄だったな…。

光のカルバリー(CV:伊達朱里紗)

ゴルゴタ、あのね。
私、たまにヘブロンで過ごしていた頃の夢を見るの。
光と山が調和して、昼と夜が共存していた場所。
お父様の絶対的な能力の下で、いつまでも平和でいられると思っていたあの頃の夢。

でも、その平和は長く続かなかった。
お父様が消えて、ヘブロンの光も消えてしまった。
酷寒と闇に襲われ、もしくは眩い光と熱気で生命体は生き残ることすらできなかった。
お父様から力を受け継いだ私とあなたが制御してみようとしたけれど、
二つの体にそれぞれ異なる能力を受け継いだ私たちは、お父様の代わりにはなれなかった。

お父様をここで見つけた時はとても嬉しかったの。
あの方をお手伝いしてヘブロンの全盛期を取り戻せると思った。
でも…私たちにとって神同然だったお父様は、もうこの世にいない。
認められない。
不完全な私たちとは違って、遥か未来まで見通せる絶対的なあの方がなぜ?
許せない。
お父様を…私たちの絶対的な髪を死地に追い込んだ彼らを…

お父様が遺してくれたこの部屋で、あの痛みを何度も何度も繰り返してる。
幸せだったあの頃と、悪夢のようなあの瞬間が繰り返される夢を見てるの。
いくら時間が流れても、この惑星が消滅したとしても
私の怒りと恨みが消えることはない。
お父様の唯一の遺産である、この光の力で…お父様の安息を邪魔するすべてのものを罰してやるわ。
ゴルゴタ、それがあなたと私に残された使命なの。

闇のゴルゴタ(CV:坂泰斗)

ヘブロンで、俺はいつも不肖の息子で、不肖の王子だった。
皆の期待に反して半分の力しか持たない俺の存在に王は失望し、
家臣たちは憂慮と不安の声を上げた。

俺のもう半分である妹は、ただ父親の陰の下にいるだけで満足しているようだったが。
俺はいつも俺の中の闇と父の影に追われ、追い詰められていた。
狂ったように努力をしても、半分の力では父を満足させることはできない。
父は目に見える形で失望を示したり叱責することは無かったが、
時間が経つほどに感じた。
父の不安と焦りを…。
それを感じるほど、俺の闇もさらに濃くなり窮屈になっていった。

父が消えた時、今こそ自分の力を見せる時が来たのだと思った。
光と闇を根源として生きるヘブロンで、闇は欠かせない力だったから。
だけど…父の代わりになれると思った俺の蛮勇は虚しい夢に過ぎなかった。

それから、俺は闇に閉ざされている。
自分が作った漆黒の闇の中に…
誰も俺を叱責しない。
いや、もう叱責する者は一人も残っていない。
俺の最後の肉親であるカルバリー以外は…

そうして俺は沈黙の闇の中へ自らをどんどん追いやって行った。
今は俺の牙城となったこの闇の中で…
カルバリーと俺の脅威となるものは何でも排除し、壊すつもりだ。
それがこの闇の中でできる、唯一の行為だから…。

蘇ったゴールドクラウン(CV:北沢力)

我が創造主、我が王よ。
私が復活したということは、あなたもまた復活したということ。
私はあなたの復活を信じて疑いませんでした。

この卑しい身体を更に強く改造してくださり、
このクラウン、感慨無量で嬉しゅうございます。
たとえ、この目は濁って記憶はちぐはぐですが…
構いません。
大事なのは、我らが神…光と闇の王が復活したということ。

パーティーを開かなければなりませんね。
準備で忙しくなりそうです。
未熟ながら、このクラウンがあなたの部下たちと家臣を呼び集めましょう。
パーティーというのは客が多いほど良いものですから。

どうか、お楽しみください。
この光と闇の燦然としたパーティーを…。