最高レベル拡張
ノーブレスコード
クイーンデストロイヤー(CV:鳥越まあや)
貴族たちはデ・ロス帝国の支援を得て自分たちの利権を取り戻すために足掻き始めた。
彼らがエルゼに対抗する方法はただ一つ。彼女が持つ以上の武力を手に入れること。
そのため、貴族院は能力のある者たちを手当たり次第かき集めるだけでなく、帝国の力を借りて駆動させるのを諦めていた最終兵器にも手を広げることを決める。
だが、最終塀に対する内容は、ほとんどが否定的だった。
最高の技術者であるヘルマンにも創り出せなかったエネルギー源をどうやって作るのか、という憂慮の声ばかりが存在していたせいだ。
だが、水面上に静かに登場した一人の女性と共に、憂慮の声は消えてしまった。
セブン・シャーズの有力な候補だったが、非人道的で一般的とは言えない研究によってセブン・シャーズになることが叶わなかった彼女。
貴族院の死活がかかった今、貴族たちにとって人道的かどうかなどどうでもよかった。
彼らは彼女の研究を積極的に支援し、手を差し出す帝国の手を喜んで握った。
帝国は兵器の出力を支えるエネルギー源を作って支援し、女性の研究にそのエネルギー源を応用することで兵器を稼働させることに成功する。
ただ、ヘルマンの設計図の一部だけを参考に進めたため、兵器はヘルマンの設計したものとは異なる不完全な状態で完成した。
"…記録されていたものとはかなり違って不完全そうに見えるな。"
"不完全?こいつの暴れる姿を見てもその言葉が出るかしら?"
女性は蠱惑的でありながら、ゾッとするような微笑みを浮かべてクスクスと笑った。
そしてすぐに恍惚とした表情で、自らの研究の結実を見つめながらつぶやいた。
"ヘルマンの設計図と同じく作るつもりは最初から無かったの。こいつは私の研究で私が作り出したものだから。"
女性の言葉通り、兵器はヘルマンのものとは違っていたが、天界に存在するどんな兵器よりも強いエネルギーを放っていた。
無数の技術を結集させた最強の兵器であり、ノースピースの希望。
"こいつの名前は…そうね、「クイーンデストロイヤー」がいいわ。"
ルパート・ドスター(CV:前田雄)
吹いてくる風が冷たい。
慣れてはいたが、忘れていた天界の風を受けながら、彼は海の向こうを見つめていた。
間もなく、長い長剣を背負ったザ・カンパニーの隊員が一人近寄ってきて、彼に頭を下げた。
"この近くにはいないようです。"
男は相変わらず遠い海の向こうを見つめながら、タバコの煙のような白い息を濃く吐き出した。
"そう簡単に姿を現すことはないだろう…"
そうでなければ、下の世界でとっくに見つかっていたはずだ。
男は部下に下がれと言うように手を振った。
ザ・カンパニーの隊員を部下に持つ者は他でもなく、現ザ・カンパニー首長の座に就いているルパート・ドスターだった。 きっちりと敬礼をした部下が立ち去ると、ルパートは首から下げていたペンダントに手をやった。
"どこにいるんですか、師匠…"
呟く声は、尊敬していた師匠への恋しさよりも、決然とした悲壮感に満ちていた。
遠い海の向こうを見つめていたルパートは、触れていたペンダントを握りしめた。
繊細な彫刻の為されたペンダントの鋭い部分が彼の掌に突き刺さっても、彼は握りしめた拳の力を緩めなかった。
"いっそ、現れないでください。"
呟く独り言に、青白い鋭気が滲んでいた。
切れそうなほどに鋭く研がれた彼の視線は、獲物を狙う猛獣のようだった。
"生きて出会った時には、どちらかが死ななければなりませんので…"
マッド・リケ(CV:小椋美安加)
その瞬間、眼差しが冷たくなった。こんなことだろうと思った。
実験の結果がホログラムモニターに映し出される前に、非常な手つきでボタンを押す。
バンッという音と共に研究室が一瞬赤い光に染まり、そして暗くなった。物体は古鉄となって床を転がった。
一つ息をつく。短い怒りはすぐに抜け出していった。
すぐに指を素早く動かして作業を続けた。奇跡など存在しない。正確に計算するのみ。また何かがズレているようだ。
世界は狂っている。よりよい未来に進むことなど考えもせず、名分にだけこだわっている。
過程など重要ではない。どうせ結果だけ良ければ人間は自ら合理化するものだ。
狂った科学者と罵倒されるのも一瞬に過ぎない。その方法も間違っているわけではない。
頭の中にある知識だけ信じよう。倫理だ何だと戯言を騒ぎ立てても何の意味も無いのだから。
その時、遠くから駆け付ける足音が研究室に響き渡った。
「ウェイン公がキングデストロイヤーの製作状況をお知りになりたいそうです。」
言われなくてもちゃんと完成させたのに、干渉か。先のことも見通せない愚かな人間め。
不愉快な雑音に顔が歪んだ。
歪んだ顔を目にした兵士は、その場に凍り付いた。
身を翻して歩き始める。その歩みは冷静だった。
あと少し。芸術のような私の実験が花開くその日まで。
いつの間に口角が弧を描くように奇怪に突き上がる。
通りすがりの者がその姿を見て驚いたように目を逸らしたが、構わない。
他人の視線など、とうの昔から気にも留めなくなっているから。
名分なんかに気を取られて悩んでいるような奴らは本当に愚かね。
天界を変えるのは女王じゃない。結局、正しいのは私のやり方なの。
楽しみだわ。
私の作品を見た人間たちはどんな表情をするのかしら。