Season 10. 仙界: 空の下の一番目の世界
仙界:空の下の一番目の世界
ストーリー
シノプシス – セリアの日記
今日のグランプロリスは雨です。
魔法陣に異常がないか見に行く日ですが…シャラン様はどうやら少し遅れるようです。
大魔法陣を修理するために、アンチエンバイの調査に拍車をかけているそうなので…
でも、私はシュシアさんのおかげで元気に過ごしています。
冒険者さんはお元気ですか?
今隙間時間ができたので、この日記を書いています。あ、そういえばずっと聞きたかったことがあります。
私だけ読める日記にこんなことを書くのはちょっと変かもしれませんが…
でも、気にしませんよ。この日記は絶対に!誰にも見せないし、渡さないつもりですから。
冒険者さんは知らないと思いますが、相変わらずここには冒険者さんのことを覚えていて、話の話題になることも多々あります。
ライナスおじさん、シャラン様、アガンゾ様、ロジャー様、シュシア様…ヘンドンマイアの皆もそうです。
そして私も…冒険者さんの話になると、いつもの自分じゃなくなるみたいで…
みんな聞いてくるんです。
冒険者さんと過ごしたあの短い間が、私にとって大きな意味があったのかって。
否定はしません。最初は自分が変わっているのかなーと思いました。
私は少しの間だけ、同行した仲ですから…冒険者さんは私のことをそのうち忘れちゃうんじゃないかなって。
でも今外で降っている雨をみていると、こう思うんです。
一緒に過ごした時間の長さは関係ないと。
一瞬の雨でも、
降った瞬間この世界の景色は変わるから。
雨が止んで地面が乾いても、
雨が降る前とは全く同じではないから。
だから私はいつもの日常の中、あなたのことを考えています。
冒険者さんは今頃どんな人に会って、どんな事をして、危険な目にはあってないかなって。
今いる場所にも雨が降っているか、そこの景色はどんなものか…
雨が降っているなら、たまにはグランプロリスの露を思い出してくれるのかな、なんて。
…外から物音がします。きっとシャラン様でしょう。
気付いたら雨も止んできました。
そろそろいつもの日常に戻る時間です。
ただ待っているだけとは言いませんよ。
突然の雨みたいに、ふいに会えると信じているので。
でも欲を言えば少しは、ほんの少しは冒険者さんも私のことを思い出してほしいです…
それでは、お元気で。
白雲の谷
親方ルトン(CV:吉岡琳吾)
白雲の監視者になってから今日まで。
監視者の朝は灯台の踊り場に立ち、渓谷とその先に広がる霧を見渡すことから始まる。
毎日かかすことなく目にしている風景ではあるが…
「何度見ても美しい。」
千年…
千年もの間、白海の果てを覆う霧が晴れる気配はなかった。
かつてはその白海の向こうを照らしていた灯台の光でさえ、その霧をはらうことはできなかった。
古来の先人たちはここで異世界からの訪問者を案内したり、脅威となり得るものがないか監視したりしたという。
それは千年が過ぎた今も変わらず行われている。
たとえ目の前の霧が晴れたとしても、俺たちの務めは変わらない。
平和と調和を脅かす者の出現を監視する、それが俺たちの仕事だ。
長い沈黙が破れる時の対処法はまだ決めていない。
現れた時には、笑顔で迎えた方がいいのか?
いや、霧の向こう側から侵入した未知なる敵とみなすべきなのだろうか?
それとも…
「ははっ、俺も歳を取ったものだ。務めは変わらないというのに余計な心配ばかりして。」
もはや心配する意味などない。
やるべき仕事は十分理解している。
俺は雑念を払い、谷に戻ることにした。
するとその時、霧の向こう側に異様な気配を感じた。
気になってそちらを見ると、信じられない光景が目の前に現れたのだ。
千年…
千年もの間、2つの世界を隔てていた霧の奥から、客人がやってきた。
同時に気づいたことがある。
俺は霧の向こう側の世界と繋がることを密かに望んでいたのかもしれない。
白雲の監視者としての役目が果たせるという喜びに胸が高鳴っていた。
しかし、喜んでばかりはいられない。千年ぶりに訪れた客人の目的を探らなくてはならない。
もし仙界の調和を乱す存在であれば、命をかけて阻止せねば。
霧はまるで何ごともなかったかのように、何者かが通った隙間を埋め尽くしていた。
俺は伝令使を呼び、白雲の監視者全員に下す命令を託した。
「我々の義務を果たす時が来た。」
ランドキーパー・シュム(CV:春海ひなの)
「フフフフーン。」
青い髪の少女が、白雲の谷にある展望台で鼻歌を口ずさんでいる。
司祭服を身にまとった灰色の髪の男が、その少女の後ろで考えに耽けっている。
「クラディスは知っておるか?」
少女はウームという名の、小さなカメを指でつつきながらそう言った。
声が届かなかったのか、男は何も答えない。
「これ、クラディス!なにをボーっとしておる!」
クラディスは驚いた様子で少女を見た。
少女はコホン、と咳払いをして話を続けた。
「拙者は何をしても出遅れる。千海天のランドキーパー殿をいつも待たせてばかりであった。」
クラディスはもう一度少女に目を向けた。何も言い返してこないクラディスを見て少女は
「生まれてこの方、己の夢に気づくのも、ランドキーパーになるという目標を持つのも遅かった。
さらに言えば、ランドキーパーになったのも遅かった!わっはっはー!」
少女はクラディスを見上げた。
「そのせいかもしれぬが、誰も拙者を信用してくれない。大事な奉公を拙者には任せようとしないのだ。」
「ですが、今は白海のランドキーパーになられたではないですか。シュム、もっと自分に自信を持った方がいいですよ。」
「……。」
「周囲からの信頼など、どうでもいいことです。」
「なれども…誰ひとりとしてそのように申してはくれぬ。」
少女は俯く。
自信を失っているこの少女が、いかに圧を受けて生きてきたのかが手に取るように分かる。
その小さな肩でどれほどの重荷に耐えてきたのだろうか?
クラディスは片方の膝をつき、地面を見つめるシュムに目線を合わせた。
「シュム、あなたは目標を達成して、ランドキーパーになったではありませんか?」
シュムは初めて人に褒められたことに驚き、息ができなくなった。
クラディスは穏やかな口調でこう続けた。
「あなたはどんなに時間がかかっても、必ずやり遂げる人です。私はそんなシュムを信じていますよ。」
「そう…でござるか?ふぅむ。」
シュムは傍にいるウームの頭を撫でた。するとウームは嬉しそうに宙をクルクルと回った。
シュムは少し裏返った笑い声で
白雲の谷の絶景を眺めていた。
信じてもらえることって、こんなにもありがたく嬉しいものなのだなぁ。
「あ…」
「ありがとう…」
「何のことですか?」
「信じてくれて…拙者もクラディスだけは何があっても信じるでござる!」
「何があっても…ですか。」
クラディスは沈思するかのように、シュムの視線の先を追い、遠くを見つめた。
谷の向こうに白い霧に覆われた海が見える。
仙界では霧を有益なものや、尊いもの、温もりなどと言う者もいれば、行く手を阻む障害と言う者もいる。
彼らの目に映る霧は、まるで白海を大陸ごと覆う巨大な布のようだった。
「シュム、ひとつ聞いてもいいですか?」
「ほう!申してみろ。」
シュムはクラディスに目線を向け、すぐに逸らす。
「もう自然に私を名前で呼べるようになりましたね。はじめの頃は酷くぎこちなかったのに…他の方には今でも殿と呼んでいるのですか?
そういえば、ウームにもまだ殿と呼んでいましたね。」
「ひっ!」
「それって、何か理由があるのでしょうか?」
「そっ、それはだな!それは…」
また目を逸らしてしまった。
大切な人に特別扱いする理由を聞かれて、さらっと答えられるほどシュムは器用ではなかった。
クラディスは咳払いをして誤魔化そうとするシュムを見て優しい笑みを浮かべた。
ラルゴ(CV:千葉一伸)
「ラルゴ様はなぜ監視者になったのですか?」
「普通叱られたばかりの人にそんなこと聞きます?」
「任務中に離脱してエルリッヒ様に絞られるのは、いつものことではないですか。」
「…ん?これは親方が仕込んだ試験か?それとも、離脱した時の言い訳がまずかったのか!?」
ラルゴが動揺した様子で男を見た。すると男は驚いた表情で首を横に振った。
「え?何のことですか?私はただ気になって聞いただけです。ラルゴ様は任務中に突然姿を消すことはあっても、腕は悪くないので。」
「えっ、褒めてくれたの?ありがとうございます。」
「……。」
褒めたつもりはないが、嬉しそうにしているラルゴを見て男はこう言った。
「でも、どうして旅人ではなく、白雲の監視者としてここに来られたのですか。
旅人になられた方が、規則や規律に縛られず自由に行動できると思いますけど?」
「まぁね。」
すると、ラルゴは男に質問を返した。
「じゃあ、君が白雲の監視者なった理由は?」
「えっ?私ですか?私は…谷で生まれ育ちましたから。
愛する故郷と、皆が千年もの間守ってきた信仰と信念に感銘を受けて監視者になりました。」
「ふふっ。君らしいですね。ステキです。」
ラルゴは笑顔で拍手した。
「僕もそうですよ。旅の途中で監視者について知り、彼らと同じ意志を抱きたいと思いここに来ました。」
「それなのに、どうして任務中に離脱を…?」
「…旅人だった頃のクセでしょうか…?あはは…」
ラルゴは頭を掻きながら、呆れた様子の男に苦笑いを見せた。
「でしたら、やはり旅人に戻られたほうがいいのでは?」
「そんなこと言わないでくださいよ!監視者になったからこそ、白海について多くを知ることができたのに。」
「……。」
「何事にもいい面と悪い面があるでしょ?たまには旅人に戻りたいと思うこともありますが…だからといって監視者になったことを
後悔することはありません。今の生活も楽しいですからね。」
「…なるほど。突然変な質問をしてごめんなさい。」
「いえいえ、いつも叱られてばかりの僕がいけないんです。ははっ。」
そして2人は軽く世間話をして別れた。
「フフフフーン。」
ラルゴは鼻歌を口ずさみ、人混みに姿を消した。
谷の管理人レル(CV:牧野天音)
森の方から川のせせらぎが聞こえてくる。
その音に合わせ低い蹄鉄音がリズムを刻む。
「タカル、少し休まない?」
優しい声のあと蹄鉄音が止み、女は神獣エスパカルの背から降りた。
エスパカルは本来、平野に生息する神獣であるが
このエスパカルは、タカルと名づけられ女と共に暮らしていた。
女はタカルの身体を撫で、近くの岩の上に腰を下ろした。
巡察に出るというのは嘘である。静かな場所であの質問の答えを探したかったのだ。
「なぁ、レル。もしだぞ?もしブルーホークが何か隠しているとしたら、どうする?」
数日前、親方に意外な質問をされたからだ。
霧がひときわ濃かったあの日、彼らが晴煙に現れた。
レルと監視者たちにとって彼らは歓迎されざる客であった。
監視者を率いる親方のルトンがその理由を見つけたのだ。
理由とは。
レルをはじめとする監視者には、代々引き継がれている義務がある。
白雲の灯台と谷を守ること。
道に迷いし者の道導となり光を照らすこと。
遠方からの客人を迎えること。
この明確ともいえる義務と契りを守り生きてきた者たちにとって、理由を探すという行為は稀有なことであった。
岩に腰掛けていたレルは弓の弦を押し広げ、穏やかな空の額を作った。
すると額の中にタカルがひょっこりと顔を出し、それに反応した弦が青く光る。
我に返ったレルは周りを見回した。
雲の下の青い草原、心地よく響く渓谷のせせらぎと神獣の鳴き声。そしてタカルの瞳。
彼女が守ってきたものたちが目に映る。
弓を持つ手に力が入った。
「ブルーホークが何かを隠しているとしたら、いずれ明かされる。それまでは…」
レルは立ち上がった。
「これからも一緒にここを守ろう。それがこの谷の監視者としての使命だから。」
低い蹄鉄音が遠ざかっていく。
白雲の伝令エルリッヒ(CV:牟田実波)
少女は水が好きだった。
限りなく澄んだ水を見ると、心の安らぎを感じる。
穏やかに流れる水も、時には嵐のように変化する。その自由に移ろう姿に魅力を感じた。
だから少女は暇さえあれば谷へ行き滝を眺めていた。
滝壺から流れる渓流、ぽつりぽつりと不規則に落ちる水滴の旋律、嵐のように豪快に落ちる滝の音に耳を傾けた。
それぞれ異なる水の形を見て楽しんだ。
水に魅入られ、水のようになりたいと願う。
少女は冷淡で感情を表に出さない。
優しく流れる水とは違い、少女の鋭く一貫した行動には水のような柔軟さはなかった。
得意とする観察と分析は、ときに深い傷を与える。
それが嫌で少女は人の輪を避けるようにしていた。
「私…ダメなのかな?」
生まれ持つ性格なのか、それとも自身の欲が仇となっているのか少女には分からなかった。
何をしても思うようには行かなかった。
沈んだ気持ちを抑え、いつものように滝を見つめていると
「キュルゥ?」
小さな鳴き声がした。
声がした方に目を向けると、水で模られた蛇がいた。
「キュルッ!」
その神獣はパチパチと瞬きをして、ゆっくりと少女の肩に乗り離れていった。
爽やかな水の香りとひんやりとした心地のいい感触を得た。
少女は思わず笑みを浮かべ、様子を伺いながら神獣に声をかけた。
「…こんにちは。私はエルリッヒよ。」
神獣は返事をするかのように、その場でクルっと一回転した。
エルリッヒは次の声をかけるかどうか迷う。
この子を傷つけてしまうのではないかと不安になったのだ。
すると神獣がエルリッヒの手の上に座った。
「キュルル!」
神獣が動くたびに清々しい水の香りが漂う。
透けた身体が太陽の日差しでキラキラと輝いている。
神獣の頭にそっと手をやると、神獣は嬉しそうに頭を擦りつけてきた。
エルリッヒの胸が高鳴った。
臆せずに自分に近づいてくる存在は初めてだった。
エルリッヒは勇気を出して声をかけた。
「ねえ…キミとお友達になれるかな?」
ふたりはこうして出会った。
谷守りのルガルー
じりじりと照りつける日差しが弱まり、霧が濃くなり始めた午後のこと。
雲雨の滝の奥に位置する洞窟から大きなからだをした者が出てきた。
谷守りと呼ばれる神獣、ルガルー。
ルガルーは白雲の谷をじっくりと見て回った。
彼が通り過ぎた道にある花や木々は瑞々しいオーラを放っていた。
神獣たちは、巨大なルガルーに怯えるどころか、近づいていたずらをしたり、挨拶をしたりして仲良くやっているように見えた。
「やあ、ルガルー、今日も白雲の谷の巡回かい?」
白雲の監視者たちは、ルガルーの行動を把握しているかのように声をかけた。
「ぐおおおおお!」
ルガルーも嬉しそうに、大声で返事をした。
「ハッハッハ、ルガルーはいつも元気だな!俺たちは違うエリアに行く、こっちはキミに任せたぞ!」
白雲の監視者はルガルーに谷の巡察を任せている。
これは神獣と人間の垣根を越えた関係であるからこそできることだった。
ルガルーは白雲の谷の周辺を歩き、今日も異常がないことを確認した。
いつの間にか空が赤く染まり、白雲の谷の丘に夕陽が沈みはじめた。
ルガルーはいつもの場所へと足を運ぶ。
やがて渓谷の奥深いところに到着した。
沈む夕陽を眺めていた赤い髪の女がこちらに気づく。
「ルガルー、今日もお疲れさま。」
女は優しい声でそう言った。
「ぐおおおおお!!」
ルガルーはとても喜んでいた。
女はそんなルガルーの背中を撫でてやった。
「ルガルー、あなたは誰よりもこの白雲の谷を愛する谷守りよ。」
その手のぬくもりで、1日の疲れが癒される。
ルガルーと赤い髪の女は滝の向こうに沈む夕陽をしばらく眺めていた。
裏面の境界
妖気に包まれたヨムム
霧の子よ。
道に迷ったのか?
母が眠りにつき、
行き先を失ったのか。
霧の子よ。
立ち止まるのだ。
その白い海には霧が立ち込めている。
真っ白な世界に閉じ込められてしまうかもしれない。
霧の子よ。
霧の中にある私の合図を見つけてごらん。
白の世界は光で満ちている。
道に迷い戻れなくなる。
霧の子よ。
その調子だ。
過ぎた道は奈落のように危険で
怪我をするかもしれない。
霧の子よ。
さあ、こっちだよ。
……。
母を失いし子よ。
ついに辿り着いたのだな。
そう、ここは。
条件と役割、そして規則からも解放された空間。
お前を飲み込む…
翳る力の潜む場所。
霧の司祭クラディス(CV:山口令悟)
「クラディス、最初の記憶を覚えているか?」
晴煙、アスラハンの一室。
茶をすすった老者がひと呼吸して問いかけた。
「最初の記憶…後任を決めるための面談か何かですか?祭司長様の後任は、私ではなくエダン様の方が…」
「よしなさい。君と出会ってずいぶん経つというのに、今更面談などするわけがないだろう。ただなぁ…引退する時期が近づいてきたので、
情報を集めようかと思ってなぁ。余命少ない老人の話に付き合ってはくれないかな?」
余命少ない、という重い言葉とは裏腹に、祭司長の顔にはひねくれた笑みが浮かんでいる。
「引退なんてまだ駄目ですからね。晴煙には祭司長様がいらっしゃらないと…」
「誰にでも退く時は来る。職位だけでなく、自身の人生からも。後任者の決定権は私にあるのだ。いいから問いに答えんか。」
「……。」
祭司長がクラディスを見てきたように、クラディスも祭司長をよく理解していた。何気ない会話からも本質を見抜く人だということを。
クラディスは記憶を探るように、こう言った。
「最初の記憶…本当に私の記憶なのかどうかは分かりませんが、一番古い日のこと、霧の高原にいた頃が思い浮かびます。」
「それが最初の記憶だろう。時系列が合わなくとも君の中にあるその記憶。」
「大して意味のない記憶かもしれないですよ…」
「はっはっ、なにを勿体ぶっている?この調子では、土の中で答えを聞くことになりそうだな…」
「ああ、もう…言えばいいんでしょ。」
クラディスは大きくため息をつき、話を続けた。
「最初の記憶…ひとり、あやとりをしていました。霧の高原で。」
予想外の答えに、祭司長の目尻が上がった。
「ひとりであやとりを?ひとりでできるものなのか?」
「しゃがんで膝に糸を掛けて糸を掬っていました。掬って別の型を作るのです。」
「ふむ…遊ぶ友だちがいなかった、とも取れるな。」
「そうですね。ご存知の通り…ここへ来る前の私には霧に覆われた世界しかなかったので。」
クラディスは孤児だった。霧の立ち込める霧の高原が彼の故郷である。
ムの目の信徒たちが幼いクラディスを発見した時、彼は霧に対して卓越した適応力を身に付けていた。
霧の高原にいる神獣に助けられ生きてきたという。
その後、彼はアスラハンに移り、信徒たちと共同生活をして育った。
「ふぅむ…」
「お望みの答えではなかったようですね。」
「実は気になっていたのだ。君という存在について。多くの者を見てきたが、君のように確固たる目標を持つ信徒は…見たことがない。」
「私が答えられればいいのですが、正直分かりません。ただ、やるべきことをしているだけです。霧ノ神の世界で生き、あの方を信仰し、
信念持って晴煙と白海を守ること…」
「やるべきこと…
もしかしたら、私には本当にやるべきこと…いえ、やりたいことが何もないからかもしれません。」
「ははっ、祭司長になる理由もないということか?」
しばらく沈黙が流れた。クラディスは険しい表情を浮かべた。
「…やはり、面談でしたか。」
「ふふっ、好きに受け止めなさい。」
「私に決定権はないので。それと、ひとつだけよろしいですか。私は、完璧ではありませんからね。」
祭司長は言葉を選んでいるのか、しばらく沈黙を守り、湯呑みを置いた。
「クラディス。私は君を信じている。晴煙とムの目を任せられる者だと。」
「……。」
「君は人を信じない。それは君の長所であり悪いことではない。しかし、時には…誰かを信じてみるといい。
祭司長の務めとは、人を信じてやることだからな。」
「…はい。」
「それと…これはお節介かもしらんが、君自身も守らねばならない晴煙の一部であることを忘れないでくれ。」
「……。」
クラディスは何も言えなかった。
彼自身、まだ晴煙のムの目の信徒というよりは、霧の中に佇む子どもだったから。
「いずれ君にも、心から信じられる者が現れるはずだ。君の信念を疑うことなく受け入れてくれる者がな。」
クラディスは、反論しようとしたが飲み込んだ。
祭司長は静かに杖を立てた。
「じゃ、行こうか。君が私の後任だ。」
2人は部屋を出た。
数日後、この部屋で祭司長の葬儀が静かに行われた。
葬儀の後、執務室になったその部屋で、クラディスは再び祭司長との会話を思い出した。
彼は祭司長の、心から信じられる者が現れるはずという言葉を信じなかった。
霧の中で助けが来ると信じていた幼き頃の純粋な心は、何度も打ち砕かれたのだから。
祭司長の務めもやるべきことの一つに過ぎない。模られた糸を別の形に変えるだけの仕事である。
ノックの音がして、1人の信徒が部屋に入った。
「祭司長様、白海に…新しいランドキーパーが来るそうです。」
クラディスはやるべきことをするため、席を立った。
追いかける者ゼノン(CV:永峰新)
白海の霧に覆われた闇の島には、ある時期からか恐ろしい噂が囁かれるようになった。
逃げる者を追い続ける男がいる。
その男の手の内にいる者が去ると、また新たな逃亡者が現れるという。
誰かが全速力で走っている。
ドロッとした血溜まりを踏むような足音がする。
その音は方向を失い彷徨っているようだが、決して止まることはなかった。
男はそれを追う。
だんだんペースが落ちてきたが、追手は歩調を合わせて追い続ける。
立ち止まることを待っているかのように。
諦めることを望んでいるかのように。
そのことに気づき、速度を落とした。
すると、穢れた霧の中から甘い囁きが聞こえてきた。
「そろそろ諦めたらどうだ?」
ふざけるな!私を追ってくるあいつを片付けてくれ!
「あの追手は、お前が逃げるから追ってくるのだ。」
だからって止まったら捕まってしまうじゃないか!
「捕まったら…どうなる…?」
「……。」
男はその問いに立ち止まった。
私はなぜ…逃げていた?
いつから…?
そもそもいつここに来た…?
振り返ると、追手はゆっくりと近づいてきた。
男が後ずさりすると、追手は同じ歩幅でこちらに迫ってくる。
そこで疑問を抱いた。
もし、うまく撒けたとしても、この孤島で逃げ切れるだろうか?
「……。」
白海の霧に覆われた暗い島には、ある時期からか恐ろしい噂が囁かれるようになった。
逃げる者を追い続ける男がいる。
その男の手の内にいる者が去ると、また新たな逃亡者が現れるという。
ソリダリス
ブルーホーク船長バーディ(CV:岸本依茉)
彼はいつもそうだった。
自分が損をする方を選ぶ。
酷いことを言われても笑顔で返し、
悪を退治し正義を具現化した。
自分を苦しめた者を許したり
他人のために身を削ったり。
……。
海賊船には不釣り合いなピアノの椅子に腰かけ、
ぎこちないアクセントで曲を演奏し自分を慰めていた。
この船の名前がブルーノートとはね…とてもじゃないが、笑えない。
「もう少し自分を大事にしなさいよ。いつまで他人のために犠牲になるつもり?」
「犠牲って…?オレが望んでやっているだけだぞ?」
彼は死ぬ間際も笑みを浮かべていた。
体内を逆流する血液を吐きながらこちらを見ていた。
そしてゆっくり口を動かした。
わからない…うまく読み取れない…
「こんなになってまで義賊行為をしても、誰ひとり認めてくれないじゃない。」
彼は海賊なのにいつも他人のために生きる人だった。
だから私は彼の一部になりたいと思っていた。
彼が私のことだけは後回しにしてくれるよう願った。
私だけが唯一彼が犠牲にしなくてもいい存在でありたかった。
私だけは…
「誰ひとりだと?バド、お前がこうして分かってくれているじゃねぇか。フフッ。」
彼は、命を捧げた相手を見上げた。
笑みを浮かべ
そして瞳を閉じた。
「……。」
彼が最後に、口を動かした。
…うまく聞き取れないけど…なんとなく分かった。
第一大隊長無籍のユージン(CV:八幡諒)
「なぁ、さっきから何を考えているんだ?」
ユージンはすぐ傍にいる相手を見て言った。
「うーん、自由って何だろうってね?ユージン、君は色んなところを旅したから何となく分かるんじゃないか?」
ユージンは笑顔でこう答えた。
「色んなところに行くから…自由が分かる?君が思う自由って何なの?」
相手はユージンの問いかけに答えられず、彼の目をじっと見つめていた。
それを見た、ユージンは面白がって風を起こし、
その風に体を預けてこう言った。
「自由ってこういうことじゃない?」
相手は何のことやら、と呆れた表情でユージンを見つめていた。
「だからさ、風に乗って調和を楽しむってことだよ。じっとしていても楽しめるのが自由ってことじゃないかな?」
「でもさ、それって自由じゃなくてただ、怠けているだけじゃないのか?」
相手の言葉で甲板の風が一瞬弱まったが、また元に戻った。
「ふむ…怠けているのではなく、余裕を持つことで自由になれるってことだ。」
そう言ってユージンは手を差し伸べた。
「風に身を委ねて!真の自由を直接感じてみて!」
相手はふと、何かに気づき、その場を離れる。
「あ…ユージン、ちょっと急用ができたから戻るわ。じゃあ!」
ユージンそこにタンポポの綿毛が浮いていることに気付く。
「ここにいたのね?ユージン、今日は残業だからね!」
「はあ…僕の自由を返して…」
第二大隊長蒲公英・ダンデル(CV:前田恵)
「舵をその方向に切ってはいけません。風を利用するなら…」
「ですが、ユージン様が…」
「もう…ユージンのやつ!ユージン!!」
「一体どこにいるのよ。ねえ、ユージンを連れてきてくれる?」
「あ、それはこっちに置いてください!」
はあ…疲れた。
「プェェェッ!」
「フェンラード!仲間をイジメないでって言ったでしょ!
「この甲板、どうしてこんなに揺れるの?」
「あ、そこはウォーバイコンに…」
「アイディン、頼むから第三大隊員をしっかり教育してちょうだい。甲板がグラグラじゃない。」
はあ…
ブルーベヒーモス…切らしちゃった。
フェンラードのお腹を枕にして眠りたい。
「人が行き来する橋には洗濯物を干さないでください。」
「え?空庭から…?分かった。行ってくる。」
「アルズ、こないだの故障した船って…」
……。
はぁ…いつまで頑張ればいいの?
分かってる。あの日以来、みんなも同じように耐えているんだから。
私だけが努力しているわけではないって。
もっと忙しく過ごさないと。
あの日の記憶から逃れるために、あの日の痛みを少しでも忘れるために。
平気よ。まだ誰も消えていないもの。
少し遠くに出かけただけ。いつものようにね。
私たち、ブルーホーク、そしてソリダリスはそのくらいのことでヘコタレやしないわ。
そう、少し離れて過ごしているだけ。
タンポポの綿毛のようにね。
タンポポの綿毛が風に乗って新しい花を咲かせるには…
残された根っこはじっと待たなくてはならないの。
枯れ果てても、しっかり土にしがみついて。
そしたら、きっと誰かが花になって戻ってくるわ。
だから…あと少しだけ頑張ろう…
私がここを癒す存在にならなきゃね。
第二大隊副官F.D.C.フェンラード
私は神獣である。名は持たない。
ただし、ここにいる人間たちは私を「フェンラード」と呼ぶ。しかし私は名を持たない神獣であるからして適当に応じてあげている。
私はいつからこの船にいるのか覚えていない。
大昔、人間がこの船に私を乗せたので、その辺に落ちている薬草を拾って食べて過ごしてきただけである。
ここはまさに理解し難いものばかりだ。
まずはこの家。
私は羽があるにもかかわらず面倒なので滅多に飛ぶことはないが、人間は家を浮遊させてあらゆるところへ移動する。
実に愚かなことである。
私は長い間、その理由について考えてみた。恐らく人間は自分の家に対して思い入れがないのだろうな。
自分の家を担いで戦に出ては、崩壊寸前の家で眠るという、馬鹿としか思えない所業をしてのけている。
家は眠るために使えばいいもの、何が嬉しくてわざわざ宙に浮かべているのやら。
「フェンラード、どうしたの?」
この人間はダンデル、いつも何やら奔走している。
私は柔らかそうな隙間を探し横になった。
「はぁ…あなたはいつも気楽でいいわね?私も休もうかな?」
ダンデルは疲れたと言っては、怪しげな液体を喉に流し込んでいるようだが、誰も頼んでいない仕事をするために自分を犠牲にしているだけだ。
自らキツい仕事を引き受けて苦しんでいる。
ダンデルがそっとこちらに近づいてくる。
また私の腹の上で寝そべるつもりか。
こちらの了解も得ず、まったく厚かましいやつめ。
腹は立つがお腹が温まる。悪くない。
心地よく眠ろうとすると、嫌な足音が甲板に響き渡った。
ダンデルを探しに来た船員だろう。
悪びれる様子もなくこちらの平和を脅かしに来る姿に、心の歪みが垣間見える。
ダンデルが目を覚ましたら、また騒々しくなるだろう。
近づいてくる船員に対し、控えめにアピールしてみたが、下がる様子がなかったので仕方なく頬を軽く叩いてやった。
「グヘェッ。」
誰だって不意打ちビンタを食らえばおかしな声を発するものである。
身体が激しく揺れたにもかかわらず、ダンデルは目を覚まさない。
ダンデルが仮眠を取ったのは奇怪な妖獣にこの家を壊されて以来だったか。
気持ちのいい風が吹いていた。
なんとなく、ユージンの匂いが風とともに伝わってきたが、気にしないでおこう。
毛を撫でる霧が心地いい。
なるほど、だから人間は家を空に浮かべるのだな。
この家が大切だから、持ち歩くのかもしれない。
ふむ。他にも妥当な理由があるかもしれないが…
今は眠るとしよう。
第三大隊長アイディン・レース(CV:白松和奏菜)
「伏せてください!アイディンさん!」
飛んできた矢は赤い髪の隙間を通って、アイディンの背後を狙っていた妖獣に命中した。
妖獣の叫び声が甲板に響き、長い戦いに終止符が打たれた。
「アイディン、さっきは間一髪だったわね。一体いつまでその効率の悪いミストガンを使うつもり?
今回のような規模のある戦闘には向かないわ。」
アイディンはルドミラに目も合わせず、ミストガンにカートリッジを補充しながら答えた。
「そうかぁ?近づいてくる敵をいっぺんに処理するにはうってつけなんだけどなぁ。」
「でも、先ほどのように後ろから狙われたら…」
アイディンは笑顔で答えた。
「あんたが後ろにいるじゃないか?いつも。」
ルドミラは答えなかった。
「そうだろ?ルドミラ。」
ルドミラは答えない。
無表情でアイディンを見つめている。
「ルドミラ?」
いつも夢はここで終わる。
アイディンは一度もルドミラの返事を聞いたことがない。
ルドミラが答えたとしても内容を全く思い出せなかった。
過去の妄想から我にかえったアイディンは困難に直面していた。
「クッ…」
義足の冷たい感触が体に伝わる。
「お姉ちゃん…!」
アイディンを訪ねたアルズは、両手に抱えていた荷物を投げ捨て、アイディンの様子を窺った。
「アルズ…どうした?」
「…船長が準備するようにって。もうすぐ白海よ。」
アルズは落とした荷物を拾い、アイディンに渡そうとしてしばらく立ち止まった。
「あ…それと、頼まれていた装備、完成したよ。本当に大丈夫?
少しでも方向感覚を失うと、後方が無防備になるのに…?」
「問題ないよ。」
アイディンはアルズから装備を受け取った。
「…もう後ろには誰もいないからな。」
第四大隊長アルズ・レース(CV:田嶌紗蘭)
「アルズ。いいか?名前を書く遊びだ。」
「さあ、やってみろ!」
柔らかい声が耳元を離れると、少女は目を閉じて右手を上げた。
点から点に、ゆっくりと線を繋ぎ自分の名前を虚空に書いた。
声の余韻が何者かの悲鳴に変わる。
何かが斬られ崩れる音…
鳴き声と仲間を呼ぶ声…
それでも少女は動じなかった。
何故なら、必ずきてくれるから。
あたしのところにあの優しい声が戻ってきたら、この恐ろしい時間はなかったことになるから。
一体いくつの点を繋いだのだろう。
いつもならとっくに戻るはずの声が戻らない。
白くて小さな手と唇が震える。
少女はゆっくりと目を開いた。
目の前には優しい声の彼女と、彼女が倒した敵が倒れていた。
「お姉ちゃん…?アイディンお姉ちゃん!」
苦しそうに呼吸するアイディンは、駆け寄ってくる少女に笑顔を見せた。
「走るんじゃないよ、アルズ…ごめん、止めに行くべきなのに、歩けねえや。」
「アルズ、今日は私の負けだな。」
アルズは今にもこぼれそうな涙をこらえた。
「もういや。お姉ちゃんだけが傷つくなんて…。あたしがお姉ちゃんを守ってあげる。」
少女の強い覚悟を聞いたアイディンは、重い体を起こして彼女を抱きしめた。
この姉妹が船での生活を選択して数年経った後の出来事だった。
ブルーホーク第四大隊長アルズ・レースは目を閉じて右手を上げた。
点から点に、ゆっくりと線を繋ぎ自分の名前を虚空に書いた。
押し寄せる人鬼と修羅場と化した甲板の上で、目を開いた彼女はこう呟いた。
「あたしにもできるわ。これからはあたしがお姉ちゃんやみんなを守る…!」
主な人物
シャノン・マイア(CV:皆森水希)
独自の新しい格闘術を生み出し、アラド大陸に新たな旋風を巻き起こした天才格闘家。
特技はスチールハイヒール「スチールマリア」を履いて放つ極限まで磨き上げたローキック。
若かりし頃、この技一つで帝国決闘場を制覇したこともあり、風震のネンガードを一撃で壊したという逸話がある。
その影響で、アラド大陸各地にシャノン・マイア式格闘術の養成所が多数設立された。
しかし、女性の身体に適した型から進化した格闘技であるため、女性の格闘家に受け継がれている。
現在彼女は、より強い相手を求め修行に出たと言われており、所在不明である。
発明家スウィーティー・テヒーティー(CV:立花りあん)
仙界の発明家集団であるメインスプリング所属の発明家。現在、晴煙の発明家地区に滞在している。
明るい性格の持ち主。晴煙を代表する技術者になることを目標としている。
甘党と言われるヒナカの中でも特に甘いものに目がない「スウィーティー」テヒーティーという別名を持つ。
糖分がないと能率が落ちるタイプである。
代表作は、メインスプリングの傑作であるゴーレム型強化機を彼女色に改造した「パンクミストデザートゴーレム」である。
性能は優れているが、安定性に欠けると言われている。
発明家としてメインスプリングへの帰属意識も高く、常に発明家集団の歯車工房の発明品を見ては闘争心を燃やしている。
-「ねえ、見て!歯車工房では想像すらできない新しい挑戦だよ!へ?安定性の検証?今確かめればいいじゃん?」-
学者リッキー(CV:白松和奏菜)
重泉の学者が集まる「アイボリーセンテンズ」を退き、晴煙に渡ってきた学者。
晴煙の学者地区に滞在し、霧微粒子を利用したミストギアの力を増幅させる研究を進めている。
人生を捧げ長期研究したが、奇怪な機械装置をひとつ作っただけでこれといった成果は出せていない。
これは彼女が理論を現実化させることに興味がないためであり、この機械も、彼女の間違いを証明しようとした技術者が
研究結果を基に作ったものである。
しかし、リッキーはそれを見て意気消沈することはなかった。単に微粒子の特性に応じて確率に基づく結果が出るという、自身の理論が
反映できているからだ。
現在は資料収集をしながら利用料をもらい、機械を貸し出しているが、その機械が正常に作動しないことを知る晴煙の仙界人たちは
彼女の機械を利用しようとしない。
リッキーの冷静でシニカルな性格にも理由があるように思える。
「理論上、霧は何にでも変化します。正確には、その確率ゼロではないということですが。」
薬草師エオ・シンシニア(CV:岸本依茉)
貿易会社「リウン」に対抗する商人たちの貿易組合「ランバ」に所属する薬草商人。
貿易で晴煙を行き来していた時、重泉への道が塞がれたため、晴煙を拠点に白海で活動している。
優れた薬草師であると同時に強靭なハンターでもあったが、薬草「ソラグサ」を探す過程で負傷してしまい、引退を決意した。
その後、貿易会社「リウン」の横暴に反発し、「ランバ」の商人として登録した後、今は商人として第二の人生を送っている。
自身の経験を活かして、薬草師側に立ち、多くの支持を得ている。
薬草師としての生活を始めた頃から一緒に過ごしている神獣「ランディネーク」は彼女と息の合うパートナーである。
「薬草掘りの仕事は身を削る危険な仕事なんだ。薬草師の命に匹敵する対価くらいは出してくれないとね?」
見習い弓職人ディリアム・オールドレイン(CV:牧野天音)
弓を作る弓師で角鹿組合一員。
まだ若いため、先輩職人から技術を学んでいる。
角鹿平原に住み、頼まれた使いも兼ねて職人とともに晴煙に遊びに来た。
角鹿平原にはない文明を見て、旅人になる夢を抱くが、弓づくりも嫌いではない。
親はなく、職人たちに育てられたため、ぶっきらぼうで不器用なものの、年相応に純粋な一面がある。
「組合のおじさんたちのように、晴煙で人生を終わらせるつもりはない。おじさんたちの技術さえ習得できれば…よし、完成!…ってあれ?
なんで解けちゃうの…?」
マイラン・リット(CV:井上優)
晴煙の生活地区で暮らす文学者。主に詩を書いている。
生まれつき足が不自由で、ミストギアで作られた車椅子で生活している。
魔法との親和性が高いコンゴール種族であるせいか、いつも神獣たちに囲まれている。
飛空艇に乗り、夜空の風景を眺めるのが好きで、将来は飛行団に入って仙界の夜空を飛ぶことを夢見ている。
「僕もいつか飛行団の一員になって、仙界の空を飛べますよね?」
ペロマとMr.ホワイトバター(ぺロマ CV:八幡諒 / Mr.ホワイトバター CV:吉岡琳吾)
ペロマ
晴煙で長い時間を生きた神獣。
長く生きているため知能が高く、露店で盗んだ宝石などを売っている。買わずに帰ろうとする客に暴力を振るうことで有名。
そんなペロマに腹を立てる者もいそうだが、晴煙の人々は神獣を尊重するため、ペロマの暴力も笑って受け流しているようだ。
ペロマはMr.ホワイトバターの人気に気づき、いつからかMr.ホワイトバターのホバーケーブに止まり木をつけて共に暮らすようになった。
ホワイトバター
Mr.ホワイトバターも晴煙に古くからいる神獣である。仙界の人々にとても好かれている。
Mr.ホワイトバターが人気を集める理由は、彼の霧のような毛が霧ノ神に通じていると信じているためである。
晴煙の人々は、愛らしさと尊敬の気持ちを込めて食べ物を分けたり、毛繕いをしてあげたりしてきたという。
また、毛が汚れないように発明家らがホバーケーブを用意した。改良を重ね、現在では便利機能や、セキュリティ機能が搭載された
Mr.ホワイトバターの巣となった。
いつからか自分の巣に棲みついているペロマには気付いているが、あまり気にしていない様子。
カァッ!カァッ!メエエェェー
旅中のボノーズ
歯車工房で発明したバックパック型の解体機を背負っている神獣。
この解体機は神獣が食べた装備の消化を助ける機械で、その装備に含まれる五行を解体してくれる。
ボノーズたちは、装備を船の解体機に入れて砕いた後、貝を割るようにして食べ、残った部分を取り出している。
ボノーズもこの解体機を気に入っており、故障した際には自ら周辺の工房を探し回っているので、旅人にはとても嬉しい存在である。
シナリオ/クエスト
仙界への道
クエスト
- · 新規アクト「仙界への道」が追加されます。
- · このアクトは、名声23,259以上のキャラクターで受諾可能です。
- · 110レベルのアクトクエスト「始まりの場所」を受諾すると遂行できるようになります。
白雲の谷
白海への玄関口ともいわれる天恵の地形。
白海の東端に位置する谷で、一面に霧が濛々と立ち込めている。
谷に厚く広がる白雲と、雲の切れ間からそびえ立つ山並みが相まった絶景が見られる場所でもある。
邪悪な者たちの侵入に備え、白雲の谷の監視者たちが常に目を光らせている。
クエスト
- · 新規アクト「白雲の谷」が追加されます。
- · このアクトは、名声23,259以上のキャラクターで受諾可能です。
- · 110レベルのアクトクエスト「霧の世界」を受諾すると遂行できるようになります。
晴煙
クエスト
- · 新規アクト「晴煙」が追加されます。
- · このアクトは、名声23,259以上のキャラクターで受諾可能です。
- · 110レベルのアクトクエスト「晴煙の調査開始」を受諾すると遂行できるようになります。
裏面の境界
遠い昔、ムの目の祭司長の中でも選ばれたごく少数の祭司長たちが霧ノ神と対話するために使っていた空間。
霧を通してムが見てきた仙界のあらゆる様子が全て記録されていると伝わる。
霧ノ神ムは、ここの境界門鎮に記録を映し出して自身の神託を示した。
クエスト
- · 新規アクト「裏面の境界」が追加されます。
- · このアクトは、名声23,259以上のキャラクターで受諾可能です。
- · 110レベルアクトクエスト「霧の高原へ」受諾時に実行可能です。
ソリダリス
海賊、ブルーホークの大船団である「ソリダリス」。
連なる船の巨大な輪の威嚇がじりじりと晴煙に迫ってくる。
理由も事情も知らされないまま、かつては味方であった一隻の船だけが、今は反対側から彼らを凝視する。
クエスト
- · 新規アクト「ソリダリス」が追加されます。
- · このアクトは、名声23,259以上のキャラクターで受諾可能です。
- · 110レベルのアクトクエスト「暗い島の脅威」を受諾すると遂行できるようになります。
均衡の仲裁者
次元の嵐の中から現れた謎の空間。
歪曲した次元と時間、消えたタイムロード。そして、長い間世界を見守ってきたとある存在が姿を現す。
クエスト
- · 新規アクト「均衡の仲裁者」が追加されます。
- · 110レベルエピソードクエスト「続く不安」を受諾すると遂行できるようになります。
冒険クエスト
クエスト
- · 新規冒険クエスト32種が追加されます。
クエストスキップ
- · 「クエストスキップ」機能を追加しました。
- アカウント内のクリア条件とは関係なく、アクトクエストをスキップできる機能です。
- 「クエストスキップ」が可能なアクトクエストの場合、以下の条件を達成すると「クエストスキップ」ボタンが活性化されます。
- ただし、名声 30,998以上のキャラクターのみ使用可能です。
- 「クエストスキップ」が可能な区間で適用された「現在のクエストクリア」機能も同様の使用条件が必要です。
- 「クエストスキップ」機能を使用すると、現在のアクトが自動的にクリアできます。
- ただし、報酬は獲得できません。
- · 次の5個のアクトに「クエストスキップ」機能が適用されます。
- · 仙界への道
- · 白雲の谷
- · 晴煙
- · 裏面の境界
- · ソリダリス
アラドクロニクル
- · 仙界ストーリーのアップデートに伴い、シーズン13の項目が追加されます。
- · シーズン0項目に「仙界」に関する内容が追加されます。
その他の変更事項
- · アクトクエスト「霧の向こうの世界へ」をクリアすると、「ナタリア・スー」 NPCがウェストコースト港に移動します。
- · アクトクエスト「霧の向こうの世界へ」をクリアすると、「神弓ルドミラ」 NPC商店機能が「ナタリア・スー」商店に移管されます。