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Season8 Act10 追放者の山脈
2021.02.24 09:43
新しいタリスマンとルーンが追加!
【ルシール・レッド・メイン商店】
○ルーンアップグレード
· 追放者の山脈で獲得できる「黒い夜の残滓」アイテムを使用すると、レア等級のルーンをユニーク等級のルーンにアップグレードできます。
· シャントゥリ/追放者の山脈チャンネルにいるNPCルシール・レッドメインの
「タリスマン/ルーンアップグレード」メニュー→レミディア・カペラ:光の聖火で
「ルーンアップグレード」機能を通じてアップグレードできます。
· ルーンアップグレード時、ルーンの種類、スキルはそのまま維持されます。
· ルーンアップグレードでは次の材料を消耗します。
概要
【概要】
・<追放者の山脈>ダンジョンが追加されます。
・追放者の山脈は4人パーティーでストル山脈地域でいくつかのダンジョンをプレイするコンテンツです。
・追放者の山脈を通じてタリスマン、ルーンと様々なモンスターカードを獲得できます。
・「デ・ロス帝国第2領」地域の「シャントゥリ」から「追放者の山脈」に入場できます。
・追放者の山脈シナリオクエストが追加されます。
・「それぞれの居場所へ」クエストをクリアした100レベルキャラクターでプレイできます。
・「見逃しているもの」クエストをクリアすると、追放者の山脈チャンネルに入場できます。
・一般地域シャントゥリにいるNPC「テイダ・ベオナール」及びダンジョン待機室から「追放者の山脈」チャンネルへ移動できます。
· 新規地域「デ・ロス帝国第2領」が追加されます。
· 新規街「シャントゥリ」が追加されます。
· 「シャントゥリ」はチェストタウンとストームパスから入場できます。
· 「シャントゥリ」に新規NPC「ルシール・レッドメイン」が追加されます。
【入場ルール】
・100LV以上のキャラクターでプレイできます。
・週間入場回数は3回で、一日1回プレイが可能です。
・週間報酬回数は2回獲得可能です。
・一日の入場回数制限は毎日06時に初期化されます。
・週間入場回数制限は水曜日06時に初期化されます。
【入場方式】
・チャンネル選択の特殊地域タブに「追放者の山脈」チャンネルが追加されます。
・「追放者の山脈」チャンネルのNPC「テイダ・ベオナール」を通じてパーティーを生成できます。
・パーティー生成後に左側の地域に入れるようになり、NPC「オベリス・ローゼンバッハ」を通じて<追放者の山脈>任務を開始できます。
・1~4人パーティーで入場できます。
・4人パーティー推奨コンテンツです。
・5938以上の抗魔力推奨です。
【入場方式】
・入場材料は必要ありません。
・コンテンツ入場時に疲労度30を消耗します。
・最少入場疲労度30が必要です。
【ダンジョンルール】
· 追放者の山脈開始時、60分の制限時間が存在します。
· 制限時間が0になると任務失敗となり、使用した入場回数が初期化されます。
· パーティーを脱退するまでは制限時間中に何度でも挑戦できます。
· 任務失敗せずにパーティーを脱退すると、再入場チャンスを失います。
· ダンジョン制限…ダンジョン別パーティーコイン使用制限4個が適用されます。
· ダンジョン別に10分の制限時間を持ちます。
· 一部の消耗品の使用が制限されます。
· 人形系消耗品を使用できません。
· 聖なる祝福、天上のHPポーション、天上の完治ポーション、神のご加護は使用できません。
· 「光の加護」 及び 「光の形象」バフが適用されます。
· 「光の加護」…追放者の山脈地域内に適用されるバフです。
バフツールチップで適用状況を確認できます。
· 「光の形象」…真覚醒アップデートが適用されない職業群に提供される追加バフです。
一般職業群:ダメージ上昇率(%) : +15
【進行方法】
· 任務開始後、左側の入り口からストル山脈に入場できます。
· 1個の結界ダンジョンと2個の占領地ダンジョンがあり、結界ダンジョンをクリアすると城砦ダンジョンと封印地ダンジョンを確認できるようになります。
· 2個の占領地ダンジョンはレミディア・バシリカの助けを得られるダンジョンです。
· 緑色の十字架が刻まれたダンジョンをクリアすると、コンテンツ進行中に「光の洗礼」(持続ダメージ増幅)を獲得できます。
· 青い十字架が刻まれたダンジョンをクリアすると、コンテンツ内で制限的に使用できる
「光の審判」(短期ダメージ増幅)を獲得でき、これはパーティーリーダーが活性化することができます。
· 「光の審判」は追放者の山脈コンテンツ内で2回使用できます。
· 「光の審判」が活性化するとNPC「オベリス・ローゼンバッハ」の助けで、しばらくの間PTメンバー全員がダメージ増加効果を獲得できます。
· パーティーリーダーはダンジョン入場後、制限時間UIの後退ボタンを利用してそのダンジョンから後退できます。
· 任務開始後、NPC「オベリス・ローゼンバッハ」を通じて任務を放棄できます。
· 任務放棄時にはそのパーティーの任務進行が中断され、PTメンバー全員が再挑戦のチャンスを獲得できます。
· 後退時に左側の入り口からストル山脈に再進入できます。
【報酬】
階層 | 内容 |
殉血者デヴァスタール撃破 | 次の報酬の中からランダムに1種を獲得できます。 -アンコモン~ユニークルーン16個 -アンコモン~ユニークルーン16個+黒い夜のルーン原石5個 |
消滅の安息地のクリア報酬 | 次のタリスマン報酬からランダムに1種を獲得できます。 -レア~ユニーク聖痕のタリスマン3個 -レア~ユニーク聖痕のタリスマン4個 次の報酬の中からランダムに1種を獲得できます。 -黒い夜の残滓17個 -黒い夜の残滓18個 -黒い夜の残滓19個 -黒い夜の残滓20個 -黒い夜の残滓25個 -黒い夜の残滓17個+黒い夜の咎1個 -黒い夜の残滓17個+黒色の黒い夜の咎箱1個(黒い夜の咎100個) -黒い夜の残滓17個+闇色の黒い夜の咎箱1個(黒い夜の咎50個) -黒い夜の残滓17個+灰色の黒い夜の咎箱1個(黒い夜の咎25個) -黒い夜の残滓17個+白色の黒い夜の咎箱1個(黒い夜の咎10個) -黒い夜の残滓17個+追放者の山脈ボスモンスターカード1個 -黒い夜の残滓17個+高貴な聖痕のタリスマン箱1個 -黒い夜の残滓17個+未確認タリスマン[カペラの聖痕:タリスマン]1個 [ネットカフェ特典]次の報酬の中からランダムに1種を獲得できます。 -黒い夜の残滓1個 -黒い夜の残滓2個 |
アイテム名 | 説明 | 備考 | ||
黒い夜の残滓 | 黒い教団が作った魔法陣の残滓。 NPCルシール・レッドメイン商店でタリスマン再調律機を購入したり、レミディア・カペラ : 光の聖火でタリスマンまたはルーンのアップグレード材料としても使われる。 | 交換不可 | ||
黒い夜の咎 | 黒い教団の人物たちから共通して感じた悪魔化の気運が凝縮された物質。NPCルシール・レッドメイン商店でタリスマン再調律機、1回用聖痕のタリスマン合成機、1回用ルーン合成機を購入する時に使用します。 | 交換可能 | ||
高貴な聖痕のタリスマン箱1個 | 使用すると、聖痕のタリスマン、カペラの聖痕タリスマンをランダムな確率で1個獲得できます。 | アカウント帰属 |
【ルシール・レッド・メイン商店】
アイテム名 | 説明 | 備考 | 価格 | ||
1回用聖痕のタリスマン合成機2個箱 | 1回用聖痕のタリスマン合成機2個が入っています。 合成機は交換不可の状態で支給されます。 1回用聖痕のタリスマン合成機を使用すると、聖痕のタリスマン合成を行うことができます。 ゴールドは消耗しません。 | 交換不可 | ×1 | ||
1回用ルーン合成機4個箱 | 1回用ルーン合成機4個が入っています。 合成機は交換不可の状態で支給されます。 1回用ルーン合成機を使用すると、ルーン合成を行うことができます。 ゴールドは消耗しません。 | 交換不可 | ×1 | ||
タリスマン再調律機箱 | タリスマン再調律機1個が入っています。 再調律機は交換不可の状態で支給されます。 タリスマン再調律機を使用すると、タリスマンに付与されたルーンの気運をランダムに変更できます。 自分の職業のタリスマンに使用できます。 | 交換不可 | ×186 | ||
タリスマン再調律機箱[黒い夜の咎] | タリスマン再調律機1個が入っています。 再調律機は交換不可の状態で支給されます。 タリスマン再調律機を使用すると、タリスマンに付与されたルーンの気運をランダムに変更できます。 自分の職業のタリスマンに使用できます。 | 交換不可 | ×20 ×93 |
||
カペラの聖痕タリスマン選択箱 | 自分の職業のカペラの聖痕タリスマンを選択して獲得できる箱。
(タリスマンは交換不可の状態で支給されます。) キャラクターにつき1個まで購入可能 |
交換不可 | ×470 | ||
ユニークルーン選択箱 | 職業別ユニークルーン選択箱を選択して獲得できる箱。
職業別ユニークルーン選択箱からは職業を選択して
テラコッタ/サークルメイジ/守護者/古代図書館/セカンドパクトのユニークルーンのうち1種を選択して獲得できます。
(箱と構成品はすべて交換不可の状態で支給されます。) キャラクターにつき2個まで購入可能 |
交換不可 | ×120 |
新規タリスマン及び新規等級ルーン追加
【新規タリスマン追加】
· 新規レア/ユニークタリスマンが追加されます。
· 新規タリスマンは魔界のタリスマンよりも強化された能力を持つアップグレードタリスマン5種と75, 80Lvの新規スキルタリスマンで構成されています。
· ただし、クルセイダー(男)は75Lv 2種、ダークナイトは50, 80Lvスキル、クリエイターは40, 80Lvスキルで構成されています。
· ユニーク等級のルーンが追加されます。
【タリスマン&ルーン装着スロット拡張】
· タリスマン&ルーン装着スロットが拡張されるため、一部のUIが変更されます。
○タリスマン&ルーンインベントリUI
· タリスマン&ルーン装着スロットが増加します。
· 装着の仕方は既存と同じです。
○タリスマン図鑑
· 新規スキルのタリスマンが追加されるため、一部のUIが変更されます。
ルーン図鑑
【タリスマン&ルーンアップグレード】
追放者の山脈で獲得できる「黒い夜の残滓」アイテムを使用すると、魔界のタリスマンをカペラの聖痕タリスマンにアップグレードできます。
· シャントゥリ/追放者の山脈チャンネルにいるNPCルシール・レッドメインの
「タリスマン/ルーンアップグレード」メニュー→レミディア・カペラ:光の聖火で「タリスマンアップグレード」機能を
通じてアップグレードできます。
○タリスマンアップグレード
· タリスマンアップグレード時のルーンの組合せは同じく維持されます。
· タリスマンアップグレードでは次の材料を消耗します。
材料 | 必要数 |
黒い夜の残滓 | 300個 |
アイオライト | 50個 |
材料 | 必要数 |
黒い夜の残滓 | 150個 |
アイオライト | 50個 |
ストーリー
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レミディア・カペラの書信
尊敬する大主教様へ
送ってくださったお返事は大審問官から受け取りました。
ですが、私たちが危惧していたよりも多くのことが起きつつあるようです。
手紙の内容よりも、大審問官から直接聞いた話から私たちも状況の深刻さを知ることが出来ました。
大主教様もご存じのはずです。
シャントゥリは…隠したい帝国の歴史とプリースト教団の辛い記憶が共存する場所。
帝国では誰も口にしませんが、ストル山脈に流れた多くの者たちの血を、大地が憶えているでしょう。
今となっては草も生えない荒れた地で、彼らが何をしようとしているのか見当もつきません。
ですが、大事なのは彼らが動き始めたと言う事と、その本拠地がシャントゥリだということです。
レミディオス神のマントと呼ばれる私たちカペラは、この件を軽視しません。
使徒聖戦以降、レミディア・バシリカの対応についてはまだ議論すべき余地がありますが、
さらに大きな災いが飛び火してきた以上、大事なことは別にあるようです。
大審問官が伝えた内容通り、バシリカの支援要請を承認いたします。
レミディア・カペラの敬虔な信徒であり、神の意志を貫く審判官たちが大審問官に続くでしょう。
彼らの斧と炎により、過去の悲劇を繰り返されることが無いことを祈っています。
追伸:レミディア・クリソスにもこの件に関する手紙を送ってあります。
ですが、大きな期待はしない方が良いでしょう…。
帝国の首都を守っているので、今回の件ももっと確実にならないと動かないと思います。
-レミディオスの信実なマントであり、レミディア・カペラの主教 アントニオ・マルセル
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地域
1.棄てられた地
デ・ロス帝国の都市、シャントゥリは首都と遠く離れた国境地帯という地理的な特性と
アッシェン砂漠とストル山脈に囲まれた寂寞な環境のせいで「棄てられた地」と呼ばれていた。
石ばかりが転がる砂漠の上には遥か昔、バントゥ族と帝国の間で繰り広げられた戦争の残骸だけが残されていて
人の気配はどこにも無い。
だが、灰色の都市特有の静けさと荒れた雰囲気でさえ、国境を超えて旅をする旅人たちにとっては、
乾季の雨と同じくらいありがたいものだと言う。
2.追放者の山脈
一年を通して万年雪に覆われた巨大な山脈であるストル山脈は
ペルロス帝国の英雄だったカザンが両腕の筋肉を奪われて追放された場所として有名だ。
これにより、公国北部地域とデ・ロス帝国の境界を成すここは、「追放者の山脈」とも呼ばれている。
山脈の険しい地形のせいで雪山で生まれ育ったバントゥ族さえここに長時間留まることはほとんど無いが
ストル山脈を越える者たちの間では、黒い服を着た人々が群れを作って動くのを目撃したという噂が度々伝えられる。
3.混沌の夜
空には赤い月がかかり、大地は黒い炎に覆われる。
巨大な魔法陣の光が夜の闇を払うと現れるのは、ただ破滅と絶望、そして混沌のみ。
赤い手を持つ者よ。生きたければ武器を振るえ。
長く飢え続けた黒い羊たちにとって、敵と味方を区別することは時間の無駄に過ぎないのだから。
4.ネメシスの城砦
死の神、ウシルを崇拝するウシル教団の聖地であり、神殿。
ウシルの敬虔な信者だったボロディン王が彼を裏切ったベロウの剣に倒された後、
ウシル教団は歴史の闇の中へと消えたように思われた。
だが、ベロウの時代が終わった後も少なからぬ人々が依然として死を崇拝し、
異端だと弾圧されていた彼らはストル山脈の奥地に身を隠した。
その結果、ウシルの神殿は外部から自分たちを隠し、保護する城砦のようになっていった。
世界への復讐を夢見る者たちが集ったここは「ネメシスの城砦」と呼ばれ、
自らを「ダークテンプラー」と称する秘密騎士団によって守られていた。
5.消滅の安息地
ネメシスの城砦の奥深く、カザンの遺体が安置されている消滅の安息地を守るのは、ウシル教団の使命の一つだった。
だが、黒い教団によってその位置が暴かれた今、ネメシスの城砦は黒い教団の絶え間ない攻撃を受けて危機に晒されてしまった。
黒い教団の強力な偽装者軍団に為す術もなくやられ、結局殉血者デヴァスタールの目の前に置かれた「消滅の棺」。
黒い聖戦を起こした偽装者たちの君主、混沌の再臨はそう遠くないだろう。
登場人物
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殉血者デヴァスタール
闇の中で生を見た。
凄絶に響き渡る空虚の中のこだまの中から伸びるカラカラに乾いた腕が、私を掴む。
痩せこけたその生が私に尋ねた。
啓示はどこから来るのかと。
笑えもしない啓示を口実に、それだけが正義だと語る者たちの後から、真の声が聞こえた。
鉄を引っ掻く音に似た、地下の奥底から響き渡るような不気味な声が…
その声につま先が震えるような戦慄と喜悦を感じた。
口元には笑みが絶えない。
血走った目から涙が流れ落ちる。
ああ…!これが私の神が下した真の啓示…
声は闇を語った。
死と混沌を…その中に描かれる混沌の讃歌を。
それは言葉ではなく、風の音で、水の音で、大地が蠢く響きだった。
"聞いたか。"
大きな山の影だと思った。
巨大な影を落としながら生まれた彼は、混沌であり、破滅そのものだった。
恐らくその瞬間、恐れを見せたり否定したならば、その者は一瞬の迷いも無く背負っていたその巨大な刃で私を裂いただろう。
否定でも肯定でもない様子に、山が動いた。
"ついて来い。"
まるで、その巨大な刃を振り下ろすタイミングを見計らうように相手を見つめていた彼が、
「ブウン」と破空音を出しながら刃を横に振った。
応答を待っていたわけでは無いのか、振り返ることも無く歩いて行く彼の背後から、雄渾な気運が放たれていた。
ああ、彼があの方が私に遣わされた使者なのか…。
破滅の足跡をたどって歩く道は、この上なく暗くて空虚だったが、
その道の果ての闇の中には、探し求めていた答が身をすくめて待っていた。
そうだ。啓示は誰かが口ずさむ讃美歌のように、光の中から下されるのではない。
それは闇の中でも、苦痛と死、混沌の中でも
まるで悲鳴のように更に壮絶に聞こえてくる。
記憶に刻むがいい、平和という安楽と腐敗した享楽に溺れる驕慢な者どもよ。
我らは、混沌はあらゆる場所に存在することを…
心に刻むがいい、汚らわしい恥部と過去の過ちを消し去ろうとする世界よ。
混沌はあらゆる時間の中からお前たちを見つめていること。
我らはあらゆる時間に存在していたことを…。
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ドゥルイド・ミア
温かい日差しの下に座っていたミアは、自分を起こすように頬をくすぐる木の枝をそっと撫でた。
木の枝が揺れると放たれる爽やかな葉の香りに酔ったミアは、ふと浮かんだ考えに驚いてしまった。
"…幸せ?"
閉じていた目を開いたミアは、辺りを見回す。
ぼやけていた視野が徐々に輪郭を取り戻していくと、伝染病で見捨てられた町がはっきりと見えてきた。
サイファーたちの家となったこの廃墟の街は、温かい日差しを受けて美しく輝いていた。
ノースマイアってこんな所だったっけ?
私たちって幸せを感じられる存在だったっけ?
幸せだったことが無いから、今自分が感じる感情が幸せなのかが分からない。
ただこの温もりが幸せという感情の一部ならば、ミアは本当に幸せを感じているのかもしれない。
"ミア。"
いつの間にか近寄って来たデシャンの声に、ミアが顔を上げた。
彼はどこかへ旅立つ準備を整えていて、ミアは彼が今日発つことを知っていた。
"うん…気を付けて…行って来てね。"
"ああ。人がいる場所へ行くわけじゃないから、何事も起きないだろうし。"
デシャンは軽く言葉を残して去って行った。
とぼとぼと歩くその後姿を見つめるミアの胸に、慣れた感覚が戻って来た。
"......."
胸の奥をじんわりと締め付けるようなこの感覚は…感じたことのない感情への拒絶だろうか?
それともこれまでと同じく、また別の不幸の前兆だろうか?
"大丈夫。心配しないで。"
デシャンが視界から消えるまで見つめていたミアは、不安を振り払うように枝に話しかけ、
そんな彼女を安心させようとしているのか、ただ風に吹かれたのかは分からないが、
木の枝が彼女の肩を優しく撫でてくれた。
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虫のデシャン
ん?人間の事をどう思ってるかって?
何だよ、くだらない質問だな。
忙しいからそんな質問するなら、あっち行ってろよ。
ああ、もう!面倒な奴だな!
嫌いに決まってるだろ!
子供の頃から人間じゃないって理由で何回も殺されかけたんだからな。
これでいいだろ!
まだ質問があるって?
…ハァ…。何だよ、早く言えよ。
ん…
どうしてもう人間と戦わないのかって?
今日はやけに変な事ばっかり聞くんだな。
まあ、俺の力ならうざい人間どもを消すのは簡単だけどさ。
だからって、俺が人間を苦しめたり殺したら、俺もあいつらと同じってことになるだろ。
それはイヤなんだよ。
俺は人間よりも良い奴でいたいんだ。
サイファーは人間よりも良い存在だって言いたいから。
そうすれば、いつかサイファーが認められた時…
……。
いや、何でもない。
お前に言ってもしょうがないし。
ほらほら、起きても無いことに希望なんか持たないで、今はここをしっかり守ろうぜ。
俺たちにとってはこの上なく貴重な安全な場所なんだからさ。
分かったな、ミア。
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夜の監視者K
父を助けて欲しいと泣き叫んだ。
この子に何の罪があるのかと憤怒した。
偽装者を掴めるための、やむを得ない犠牲だったというのか?
悪を滅ぼすために仕方なかったと言いたいのか?
私にとっては、お前たちの方が悪魔だった。
神は存在するのか?
存在するならば、こんな過酷なことは無かったはずだ。
生涯、ただ真面目に生きてきた父が、
こんなにも幼く純粋な子供たちが悲鳴を上げながら炎の中で死んでいっているのに、黙って見ているはずがない。
全てが燃え尽きて灰になってようやく、私の祈りは止まった。
自分の死だけを待ちながら人間を恨み、神を恨み始めた。
そしてその時、神の使者が訪れた。
"神の応えだけを待ちながら何もしないでいれば、あなたの大事な人を失うことになるでしょう。
真の救いを求めるならば、私について来てください。"
その日から、私の神は変わった。
人間はあくまで、か弱き者は何もできず、神が応えることは無かった。
私の全てが燃えたあの日、私は死んだ。
生まれ変わった私の名はK。
夜の監視者K。
お前たちが忌み嫌うこの力で、お前たちに苦しめられる者たちを救おう。
誰よりも弱いお前たちを、悪魔の力で裁いてやろう。
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半夜
神への信心には一寸の迷いもありませんでした。
神の救いと正義には、私は分からない深い意味があろう野田と思っていました。
でも、あの飢えた子供たちを見てください。
今もあらゆる苦痛と渇きにうめくあの哀れな衆生たちの姿を見てください。
神はこんな世界を望んでいるのですか?
それとも、我らが神には権能が無いのですか?
ならば、我らは自分で苦痛から逃れなければなりません。
苦痛から逃れるための新しい身体、自分を守るための新しい力…
答は近くにあります。
強すぎる怒りと憎しみで見えなくなっていた、いえ、見ようともしなかったもの。
偽装者。
ハハハ、予想通りの反応ですね。
でも、どうして偽装者が救いにはならないと思うのですか?
必要ならば悪を活用する方法も知るべきです。
それが悪名高き混沌の神だとしても。
黒い聖戦で我らを救ったあのミカエラも、悪の使徒でしたよね?
ならば、今回もそれができない理由はないはずです。
全ての人間の煩悩を断ち切れるならば、悪魔にでもなりましょう。
この身を犠牲にすることで世界に救いがもたらされるならば、喜んで差し出しましょう。
この身を犠牲にして、悲しみも苦痛も無い極楽浄土を作りだしてみせます。