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新Season11.重泉:THE NEW WAVEの内容公開①
2025.02.28 15:05

こんにちは!
GMフィンツァです。
新Season「重泉」のアップデートがいよいよ約1か月後に迫ってきました。
これからの4週間、毎週新Seasonの内容を少しずつご紹介していきますので、お楽しみに!
3月26日のアップデートまで、新Season11の世界を一足先に体験してみてください。
第一弾は、新Season11のあらすじと一部キャラクターの紹介になります。
最後まで楽しんでいただければ嬉しいです!
I. シノプシス
ランドキーパーカメリンにとって、この夕焼けは普段よりも一層赤く染まっているように思えた。
巨大な飛空艇都市「イネ」は変わらず賑やかであったが、
何処もかしこも警報によるどよめきを隠せずにいた。
誰もが分かっていた。何かが大きく変わろうとしていることを。
カメリンは汗ばんだ手を握りしめた。
ランドキーパーの使命とは、単にどちらかの肩を持てばいいというものではない。
しかし、白海のランドキーパーからもたらされた状況は壊滅的だった。
突然、辺りが騒がしくなった。
大きな音に頭上を見遣ると、やがて巨大な影に覆われた。
大規模船団がイネの上空を横断していたのだった。
「カメリン!ここにいたのか。」
「テアスさん、あれはブルーホークのソリダリスですか?」
「ああ。壮大な眺めだ。」
「レイロンさんを説得できたようですね。」
「白海のランドキーパーから知らせがあったからな。妖撃隊も彼らがイネに着陸することを拒めないだろう。」
イネを警護する妖撃隊も、常であれば海賊であるブルーホークがイネ界隈に近づくことを許さなかったはずだ。
だが、その妖撃隊がルールを曲げるほど事態は逼迫していた。
テアスは、飛空艇の一団が通り過ぎた空を呆然と見つめるカメリンの様子を窺いつつ声をかけた。
「実は…月の沈んだ湖からの連絡が途絶えた。」
「血鉱村に続き、月の沈んだ湖までも…」
妖怪たちに奪われたアジュールメインを取り返すために帰還したブルーホーク。
揺らぐ群島から届く、死の観照者らに関する不吉な噂。
そして空海の下、乱脈の地に渦巻く危険。
避けられぬ変化は、常に巨大な津波のように押し寄せてくる。
「ブルーホークのところに行きましょう。まずは彼らの話を聞くべきです。」
過去への執着は、「今」を無駄にしてしまうということを理解している。
今この瞬間を置いて他に、万一に備えることができる最速のタイミングは皆無であるということも。
カメリンは妖撃隊の駐屯地へと向かった。
II. 死の女神殿
1.無欠なる死 ヴィシマ
「無欠」
目の前にその言葉が刻まれた。
それが最後であった。
「結局のところ…」
笑みをこわばらせ、目を瞑った。
虚無感に襲われた。
ようやく「情」をかけたい者が…生きる理由ができたというのに。
思わず失笑した。
言い訳を考え、己を合理化する。
「死とは我らが背負いし理である…」
「違う、私は背負いたくなどない。」
「でも…」
「無欠でなければならない。」
「無欠さなど望んでいない。」
「だけど…」
気を静める。死の観照者としての使命を果たすために。
喜びを閉じ込めた。
顔から笑みが消えた。
悲しみを閉じ込めた。
心のざわつきが消えた。
心奥に自分を閉じ込めた。
愛する存在が消えた。
「無欠なる死になったのだ。」
「情け深いヴィシマは死んだ。」
私は「死」を受け入れた。
無欠なる死の目から熱い涙がこぼれた。
聖所を襲う寒気が頬に涙の痕を残した。
無欠なる死は、それを嫌だとは感じなかった。
彼女にもそのような感情があったことを、表しているかのようだった。
そして彼女は沈黙の聖所を後にした。
皆が無欠さを賛美し、その期待が肩に重くのしかかるようになった。
ある少女が目に留まった。
嬉しげにこちらに手を振る、その姿。眩しいほどに美しい。
彼女に冷たい視線を送ると、
驚いたように身を竦めた。
ごめんね。
素っ気なく少女から目をそらす。
頬に残る痕がピリピリと痛みはじめた。
2.慈愛の死 セニール

「慈愛」
その言葉がぼんやりと霞んで見えた。
それが始まりであった。
「どうして?」
文字が消えゆくのを認識できなくなるほど、頭の中が真っ白になった。
虚無感に襲われた。
やっと、生きる理由を授けてくれた者に認めてもらえる日が来ると、期待していたのに。
絶望感に苛まれた。
受け入れたくなくて拒み続けた。
「慈愛…だなんて。」
「微笑むヴィシマが見たいのに…」
気持ちを落ち着かせる。私だけの「無欠」のために。
喜びを閉じ込めた。
閉じ込めきれないほど大きくなってしまっていた。
悲しみを閉じ込めた。
脆弱な心の囲いを破り溢れ出る涙が頬を濡らした。
心奥に自分を閉じ込めた。
無欠さを保て得ぬ心は、決して自身を閉じ込めることなどできなかった。
「私は完全無欠よ。」
「違う、完璧になんてなれない。」
己に課せられた「死」の名を拒み続ける少女は
不出来な無欠さの中に慈愛を閉じ込めたのだった。
3.冒涜のルブラ

蠱惑的な月光が窓の隙間から差した。
暗い部屋の中央に立つ女は、まるで闇から生まれ出でたかのような空気を醸している。
不気味なまでの凄艶さをたたえる肢体と顔立ちの女が近づいてくる。
僅かな動きだけで部屋中の空気が重苦しく変化したようだった。
「ねえ、私の声に覚えがあるでしょ?」
女は艶かしい声でそう言った。
甘やかな誘惑、しかし本能が感じる恐怖がそれを受け入れてはならないと叫んでいる。
やがて、動悸が激しくなった。
「拒む必要なんてないわ。」
女が目の前で立ち止まった。
頬を撫でられただけで、大蛇と相対でもしたかのように全身が硬直した。
「あなたの目が宿す、その渇望を制御しきれないでしょうから。」
その言葉で、ひた隠しにしていた欲望が頭をもたげたのを感じた。
女は背後より腕を絡ませては、囁いた。
「あなたに与える苦痛は私からの贈り物よ。」
この手を振り払うべきだと分かっていながら、それでもできなかった。
胸が苦しくなり、脈打つ鼓動の奥に潜む渇望が女を通して顕わとなった。
受け入れるな!断ち切れ!
潜在意識が警鐘を鳴らせど、女の誘惑に打ち克つことはできなかった。
何度か我に返ることはあった。が、自身の渇きを満せるものに近づいている、ということを受け入れるのみだった。
「いい子ね。さあ。」
気が付けば苦痛は消え、甘美な開放感に包まれていた。
4.巣作りするベロロ

その醜い翼は
影を落としただけで誰かに恐怖を与え
その羽風は
誰かにとっての耐えがたき嵐を呼ぶ。
そう、幼子のように食べて寝ることしかできない
愚かな失敗作のあなたに
一度だけチャンスをあげる。
巣を作り、翼を広げて暴れなさい。
そして、証明してみせて。
あなたを殺めずに済む理由を。
5.凶鳥カミラック

カミラックは臆病である。
他の妖獣と比べ、強くもない。
しかし自分に劣る弱者が現れると、徹底的に屈服させて手下にし、
強者の前では卑屈を装い、相手が油断した隙を突いて勢力を広げた。
では、今目の前にいる妖怪にはどのように対応すべきか、とカミラックは思案する。
本来であればさらなる慎重を期して動くべきであったが、力を得たと増長したのか
カミラックは大声で叫んだ。
「クハハハッ!オマエ、仲間はいないのか?」
「……。」
返事はなかった。カミラックは己が不安を悟らせまいと、さらに声を張り上げた。
「おい!ここはオレたちの島だぞ。聞いてんのか?」
「……。」
「クッ…」
カミラックは思い通りに事が進まないことに苛立ちを覚えた。
もはや相手の力量を見極める冷静さを欠いていた。
「オマエたち!そいつをここに連れてこい!」
手下が一斉に飛び掛かったが、その場ですぐに硬直して倒れた。
怒りに支配されていた頭が休息に冷え込み、素早く状況把握に努めた。
妖怪の手には、あるものが握られている。
心臓だ。
「もう…いちいち取り出すのも手間なのよね。」
妖怪が口を開いた。
カミラックは急いで妖怪の前に起立した。
「ふーん…あなたが大将ってこと?」
カミラックは視線を下げて跪き、平身低頭した。
「た…助けてください!残りの奴らは全員殺してもいいですから!」
しばし沈黙したあと、女は笑った。
「フフッ…全員殺しちゃってもいいの?」
「はっ、はい!生かしてくださるのであれば、他の奴らは…」
突然、鋭い風切り音がした。カミラックは言葉を終える前に周囲を見回した。
ルブラを取り囲んでいた手下たちが真っ二つに切り裂かれて横たわっていた。
「ヒ…ヒィッ!」
「面白いわ。では一度だけチャンスをあげる。」
「も…もちろんでございます!何なりとお申し付けください!」
「そう。じゃ…雑魚たちを集めて。探しものがあるんだけど、範囲が広いのよね。」
「はい!ですが…私の手下どもは全員真っ二つにされ…」
女はカミラックに刺すような視線を放った。
「な…なんでもありません!今すぐ雑魚を集めます!」
6.飢えたタイゴ

「オラが地面に埋まってる奴なんかに負けるはずがない。」
「なんだ?戦わないつもりか?おいっ!投げるなよ!痛いじゃないか。」
「あれ?うまそうな匂いが…」
「食べてみるか…1つくらい、いいだろう…」
「うまいな…」
「おい、待て…もう少しくれないか…」
「よし、これで最後だ…」
「すまん…もう1つ…」
「おかわり…」
「……。」
「オラ…何してたんだっけ?」
「あ…」
「ギャレットの餌を探してたんだった。」
「ギャレット、待ってろよ…ウフフ…」
7.墜落するオーストリ

底の見えない絶壁。
オーストリは浮遊島の先端に立っていた。
試行錯誤を繰り返し、次こそは!と意気込んでいた。
「キャッ!」
力強く踏み切ったが、オーストリの小さな翼では重量のある体を持ち上げることができなかった。
「クラララッ!」
急降下するオーストリ。結局、高度の低い浮遊島に墜落した。
今日も失敗に終わった。度重なる墜落に身体が順応したのか、地面に強か打ち付けた角も痛みを感じなかった。
渾身の力を込めて羽ばたいているのに、どうして一角獣たちのように空を飛ぶことができないのだろう。
「クワン…」
オーストリはその場に座り込み、遠く離れた空を横断する一角獣の群れを眺めていた。
おれも、あんなふうに飛べたらいいのに。空で風を感じたいのに…
「腹へった…」
オーストリは気持ちを切り替え、食べるものを探し始めた。
ちょうど向こう側の浮遊島に獲物らしきものが見える。
彼のように大きな妖獣は姿を見られれば逃げられるものだが、小さな翼で足掻き、墜落する姿を見た妖獣たちはただ笑っている様子だった。
彼がこちらには飛んで来られないという確信を持っていたからだ。
しかしそれは錯覚である。
オーストリの強みは申し訳程度に付いている飾りのような翼ではなく…
「肉か?」
発達した強靭な脚力なのだ。
「肉発見!」
そうして、笑っていた妖獣たちは目の当たりにした。巨大な妖獣が浮遊島の間を跳躍する姿を。
着地時の衝撃を利用して獲物に突進する局面を。
大きく開かれた口が、迫りくる場面を。
次の瞬間、彼らに訪れたのは暗闇だった。
以上、新Season11のあらすじと一部キャラクターの紹介でした!
楽しんでいただけましたでしょうか?
来週も、皆さんにお届けできればと思いますので、お楽しみに!
GMフィンツァでした。