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真覚醒ストーリー 男メイジ編
2023.08.02 12:44
こんにちは!
GMフォルテです。
気がつけばもう8月ですね!
皆さん、先日実装されたアーチャーはプレイされてますでしょうか💖
今なら育成イベントでレベルがサクサク上がりますし、装備やアバターなども貰えますので
ぜひこの機会にアーチャーをプレイしてみて下さいね!
ちなみに私はトラベラーをプレイ中です🥳
お馴染みになってきた真覚醒ストーリー!
今回は男メイジです!
不死の力を持つ彼の真覚醒ストーリーは、一体どんなお話なのか…。
ぜひ最後までお楽しみ下さいね🎵
真エレメンタルボマー
誰も来ることのない古びた家にある小さな部屋のベッドで、ある少年が横たわっている。
その隣で少年を見守っていた女性が言った。
「恩人さん、そろそろ起きる時間ですよ?」
その声を聞き、少年は気だるそうに目を開く。アビスのように黒い瞳、しかし片方の目が違う。
この世にある全ての力を狙う邪悪な瞳……
これまで見たことも聞いたこともないその片青眼(Odd Eye)は、彼の心臓にあるアビスと繋がっているということが分かった。
無限なる力を放つアビスの魔力を、無限なる力を蓄積できる深淵の眼に確保することに成功するとは。
「魔界の半分が飛んでっちゃうんじゃないかってくらい、大きな爆発があったんだよ。アビス弾がまた爆発したんじゃないかって心配しちゃった」
女性の言葉に少年がコクリと頷いた。少年は片目が辛いのか、顔をしかめながら目を手で覆った。
「何をしたのかは分からないけど成功よ。そのいかにも危険そうな片青眼(Wicked Odd Eye)を見たせいか、確信を持って言えるわ」
女性はそう言って鏡を差し出す。それを手にした少年は鏡に映る左目を覗きこんだ。
深淵の中でうごめくアビスの魔力は、まるで小宇宙を彷彿とさせる。
「これまでアビスを移植した人に……こんな眼を手に入れた人は誰もいなかったわ」
鏡を見ていた少年がこちらに視線を向けた。その瞳に自分の魔力も吸い取られてしまうんじゃないかという錯覚に陥る。
「君が……新しい道を切り開いたってことよ」
少年は再び鏡の中の瞳をじっと見つめた。
歴史上もっとも偉大なウォーロックになった少年は、そんな未来も知る由もなく瞳の中の宇宙をじっと見つめていた。
真氷結師
「なんだって? ちょっと来て! ボコッ!」
あっ! なんで殴るんだよ!
「アビスを移植してくれって? ねえ、小僧。教えてやったでしょ?」
な、なんだよ! 暴力は反対だ。言葉で伝えろ!
「犠牲なき力はない。楽して力を手に入れたなら、それに見合う対価を払わされるもの」
対価? フン! 力が得られるなら、別に構わない。
「まともに努力もせず不正に力を得ると、いずれ自らを破滅に追いやることになる」
今みたいに生きるくらいなら、いっそ破滅した方が……
「……小僧?」
……そうさ。もう代償は払っている。俺は……大事なものを失ったんだから……
「分かったならもう一度拳をあげてみて。それがあなたが強くなれる唯一の方法だから」
でも、望んでもないのに手に入った場合はどうなる? その力を使わずにはいられない状況だったら……?
「そんな状況は決して望まないけれど……もしあなたがアビスを得たなら……きっと無限なる力が手に入るだろうね」
この力には限界がある。だって……俺は負けたんだから。
「だけどアビスの力に依存してはいけない。アビスから湧き起こる無限なる力に陶酔せず、その無限の力を……」
……その無限の力を操れる……主にならなくてはならない。確かそう言ってたな。
「覚えてたんだね? アビスは無限の可能性を秘める力なんだ。もしその力の限界を感じたのなら……それは自らが作ったものだ」
自ら作った限界か……
「絶対に忘れるんじゃないよ。その力の主が誰なのかってことを」
わかったよ。あのさ……
「ん……?」
……
「私のことはいいから」
……ごめん
「だから、いいって」
ありがとう……
……モア。
真ブラッドメイジ
「ぐあぁぁぁぁぁっ!!」
怒りを抑えきれず、全身の血気を噴出させた。
あたり一帯の生あるものの命が失われ、俺の血で染まった。
耐えきれないほどの不快な感情を払いのけようとしたが、できなかった。
俺は……どうしてまた死の恐怖を感じたのだろうか?
「消えろ! 消えろって!!」
溢れていた体中の血気が底をついた時……アビスを感じた。まるで湖が干上がった時、底に隠されていた何かを見つけたかのように。
アビス……俺に死の恐怖と生の喜悦を同時にもたらしたもの……これが全ての原因だったのか?
純粋な真理であるべき俺が……生命の根源である血気そのものであるべき俺に残された唯一の逆鱗が……
「クックック……面白いじゃないか……」
俺の生命を左右するものが、俺の唯一の弱点だったとはな。
この状態では完全とは言えない。しかし、俺は完璧でなければ生きる理由などない。
完璧になるには……この逆鱗でさえ俺と一体化されなくてはならないんだ。
身体に残る血気をかき集め、アビスを覆うようにして圧をかける。
アビスよ。太初の姿に戻るのだ。そして……俺の血気と1つになり、より完璧な状態に生まれ変わるのだ!
血気で縛り付けたアビスが破裂した。
「……!!」
悲鳴も出ないほどの苦痛とともに、アビスが俺の血気の中に流れ込んでくるのを感じる。
「ぐあぁっ……」
心臓、体中が燃えるように熱い。混ぜてはいけない異質のものが混入し、鋭い刃が血管をほとばしるような感覚。
体内を巡る血が一気に溶け出した。
溶け落ちた血は消え、アビスと混合した血気がその隙を埋めつくした。
ああ……
そうか、ついに生まれ変わるのだな。
俺は真理に到達できなかったのではなかったんだ。扉を開けたあとの一歩が踏み出せていなかったのだ!
激しく震えていた身体が落ち着き、凄まじい力が血管を駆け巡るのを感じた。
これを、無知な奴らが持つアビスと一緒くたにはできない。
手を掲げると血色の結晶体が実体となって現れた。
血色に輝くアビス……ブラッドビス(Bloodbyss)!
俺に跪く全ての生命よ!
もう命を差し出す必要はない。その命は既に俺のものだから!
低俗な人生を生きることで負った生命の代償は払ったことにしてやる。
お前たちが気付く瞬間には、もうその命は俺の体内を流れているのだから。
真スイフトマスター
嵐の丘に突然現れたのは、遠い記憶の中の彼だった。
あまり目立たない子だったけれど、噂はちらほらと耳にしていた。
珍しく戻ってきた彼は、孤高な表情を浮かべながら街を通り抜け、嵐の丘の一番風がよく吹く場所へと向かった。
そして、その場所に腰を据えた。
吹き止むことのない風を全身で受け止めながら、あらゆる運命に立ち向かうかのように。
その姿があまりにも危うくて、毎日のように彼の様子を確かめに行った。
数日経つと何人かが彼のところへ通い始め、丘の下にはいつしか人溜まりができていた。
しかし彼は、どんなに人が訪れようが目を閉じたまま微動だにしなかった。
そして、その日を迎えた。
いつもとは何かが違っていた。凡人は気づくことができないその異変を、風の力を少しでも知る者たちは感知していた。
風が、嵐のように乱れ吹く日だった。
とうとう彼が嵐に呑まれてしまうのではないかと不安を覚え始めた頃、
彼が姿を消した。
彼に向けられていた皆の視線が、行き場を失った。
彼を襲っていた風もまた、ぴたりと止んでいた。
風が一時も止むことのなかったその場所に、嵐の目の中にいるかのような静寂が訪れた。
皆が約束でもしていたかのように息を凝らし、周囲を見渡していた。やがて、再び吹き付ける風を肌に感じ、こらえていた息を吐き出した。皆、同じものを感じたようだった。
「ああ……この風は……」
皆がいっせいに嘆声をもらした。未だにその瞬間のことは忘れられない。
風は目に見えないが、誰もが感じることができる。
彼は未だ姿を現さなかったが、四方から吹く風に彼の存在を感じていた。
風を操ったり呼んだりすることは出来ても、風そのものになれるなんて話は、伝説ですら聞いたことがない……
言葉通り風となった、彼の笑い声が聞こえてくるようだった。傲慢だったが、誰の気分も害さないような愉快な声が……
やがて現れた彼の頭の一部は、風と一体化したことを見せびらかすかのように白く染まり、羽根のような姿に変わった。
慢心に満ちた表情で人々を見下ろす姿さえ、溢れんばかりの優越さを持て余しているだけなのだろうと、見ている人を納得させてしまう。
それからというもの、人々は彼をいろんな名前で呼んだ。
伝説の風神だ、嵐から生まれた神だ、などと主張する人々もいた。
だが、名前など重要なのだろうか?
この世界に吹くどんな風の名を付けてもおかしくない存在。
風そのものになった彼を称する名は、「風」。それだけで十分なのだ。
真ディメンションウォーカー
ふと、目を覚ました。気分は……いつもと変わらない。なんだ、久々に夢でも見ていたのか……そう心の中で呟いた。
朦朧とした意識の中、右手に痛みが走りハッと我に返った。
「これは……?」
ペンが折れるほど握りしめていた拳の下に、古びた羊皮紙があった。
乱雑に綴られた字は確かに自分のものだったが、内容を理解することはできなかった。これは、いったい……
「ダメよ」
いつの間にか現れた二アリが両手で羊皮紙を覆った。
やんちゃな表情を装ってはいたが、本当の気持ちを隠しきれず、一目で緊張していると分かった。
彼女の言葉に文句をつける必要はないだろう。二アリは絶対に見るなと言いながらも、羊皮紙を奪いはしなかった。
むしろ、羊皮紙には触れたくないようだった。
その日を境に、俺は一睡もできない体になった。
絶え間なく聞こえてくる誘惑の声が、俺をどこかへ連れ去ろうとしている。
許容値以上の薬物や、気を失うほど強い酒ですら、耳元に届く鮮明な声をかき消すことはできなかった。
世界の終わりは初めから決まっている……その流れに身を任せなさい。
定められた結末を、覗いてごらんなさい……
うるさい! いつか死ぬからといって、死を意識しながら生きる人間がどこにいる!
そんなことは知らなくてもいいんだ……
拒むにせよ、受け入れるにせよ……全てはもう、定められている。
だから何も心配することはない。生きたいように、生きなさい……
この声に従えば、楽になれるのか? 結末とやらに向き合えば……この苦痛から解放されるのか?
「もう、疲れた……」
そうだ、終わりにしよう。
全てを断念した途端、全身の感覚を失った。目を開けているのか、閉じているのかも分からないまま……
底のない海に、ただ深く深く沈んでいく……
肌に冷気が凍みた。底までたどり着いた時には、楽になれるかもしれないという漠然とした期待で胸を膨らませていた。
「この、バカッ!」
誰かの……声? 聞きなれた声なのに、誰の声だか思い出せない。
次の瞬間、冷たいだけだった空間に温かみが宿った。
「……つぶって」
……?
「目をつぶって!」
彼女の緊迫した声に思わず目を瞑った瞬間、目が覚めた。
この世のものとは思えない静けさと、騒がしさが共存した感覚が消え、宿のくたびれた天井が目に入った。
その場所で見えてはいけないはずの片鱗が、世界と入り混じりうごめいていた。
過去と現在、そして未来がよじれ合う。それらは全ての瞬間の始まりであり、終わりでもあった。
言葉に表せない何かが流れ込んでくるような感覚を覚え、気が遠くなりそうになった瞬間……ぬくもりが目を覆った。
彼女が目を覆うと、奇怪な現象が見えなくなった。全ての今が入り混じったものが消え、自分のいる今だけが残った。
そして、覆われた手のひらの向こうにチラつく姿は……
「まだ……見ちゃダメよ。いつかは、行くことになるだろうけど……」
彼女が、聞こえないほどのかすかな声で付け足した。
「あと、少しだけ……」
今、何を……? それより、さっきまで見えていたものは、いったい……
「これからは、これをかけて」
ニアリが渡したのは片眼鏡だった。この状況を予想していたかのように、その眼鏡はピッタリ合った。
ニアリはその眼鏡を俺にかけてからやっと手をどけた。
この世界を覆っていた奇現象はもう見えない。ここにあるのは、宿の古びた天井と、頭の後ろに感じる温かさだけ。
「こ、これは……」
「どうしたの? 気分でも悪くなった?」
顔の火照りを感じながら起き上がろうとしたが、ニアリの手に軽く額を押された。
ニアリがふと顔を近付けた。
「これも悪くないね。たまにやってあげよっか?」
彼女は何事もなかったかのように、にこっと笑って見せたが、こうして笑っていられる日も残り少ないということには……うっすらと気付いていた。
以上、男メイジの真覚醒ストーリーでした!
次回は女メイジの真覚醒ストーリーを公開します。お楽しみに🥰
GMフォルテでしたヾ(゚ω゚)ノシ