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真覚醒ストーリー 男ガンナー編
2023.06.28 16:41
こんにちは!
GMフォルテです。
もうすぐ6月も終わりですね。
いよいよ暑い夏がやってきます!
そして6月が終わりということは即ち2023年も半分が過ぎてしまったということで…。
時間が経つのがあっという間過ぎて震えます🥶
今回お届けする真覚醒ストーリーは男ガンナーです!
天界のストーリーはつい最近ひと段落つきましたが、天界からアラド大陸にやって来た彼らのストーリーも気になりますね。
こちらご覧下さい😊
真レンジャー
「目を光らせ、どの態勢からでも狙い撃て」
男はシガーを咥え、大きく吸い込んだ。
そして深いため息とともに、白い煙を吐き出した。
「それがレンジャー(Ranger)だ。代々語り継がれる掟みたいな言葉さ」
男はシガーをトントンと指で叩き、灰を落とした。
「だが、もう少し原論から話すか……。
俺たちがそんな神業とも言える技を練磨せざるを得なかった理由をな」
男は考える時間を与えたかったのか、若者をしばらく見つめ口を開いた。
「無法地帯はいつ何が起こるか分からない。
だから常に戦闘態勢でいられるよう、神経を研ぎ澄ませているのさ。
その緊張状態は戦いが始まれば、最高潮に達する。
すると、耳元を過る銃弾がストロボのように映し出される。そんな感覚を味わったことはあるか?」
若者は口を噤んだまま、頷いた。
「間一髪のところで、超人的な能力を発揮する者たちがいる。
神経が極限に達すると、まわりの動きが鈍重に見えるんだ。
周囲に異変があったわけではない。あの時、お前がその力を発揮したのさ」
男は若い頃の自分を見るように笑みを見せた。
解決策を見つけた若者の瞳は輝いていた。
「その境地に達する者とやり合う時は、相手に予知能力でもあるんじゃないかという錯覚に襲われる。
人々はその境地を<プレビジョン>と言う。もしそれを自在に操れるようになるとしたら……どうだ?」
話し終えた男は、持っていたテンガロンハットを頭に深く押し込んだ。
「もちろん大それた理論にすぎない。誰もが経験してはいるが、その実体は掴んでいない。
でも、お前ならやれるかもな」
男は何も言わず若者の肩をぽんっと叩いた。
「答えが見つかるといいな」
若者は夕陽に向かって歩を進める年の離れた同業者の後ろ姿を見つめた。
それは無法地帯の伝説の男に相応しい、味わい深い光景であった。
真ランチャー
「ランチャー部隊は!?」
「全滅状態です! このままでは……!」
誰が言ったのだろうか。
天界に平和が戻ったと……
天界人として恥ずべき記憶となった内戦のあと、誰もが平和の訪れを期待していたが……
それは封印したい歴史を、早く覆いたいがための包みに過ぎない。
カルテルの威勢が以前より衰えたとしても、ウェスピースが無法地帯として存在する以上、
常に天界の首を絞めている状態であった。
貴族院との内戦後、軍部は再整備に余念がなく、
指導部の面々は内戦中に戦死したため、人員が多数入れ替わっていた。
辛うじて体勢を整えた中枢兵力も、天界を貫いた嵐に関する調査や、使徒の出没により分散している状態である。
ウェスピースの残骸がここまで致命的だとは想定していなかったため、自身の短絡的な判断を叱責した。
そんな中、現れたのが彼だった。
私は内心期待していたのかもしれない。
衛星に連結できる、天界では数少ない存在。
天界の英雄と言われているが、地位や名誉に対しては無欲で、今は大陸を放浪する「冒険者」と呼ばれている者。
寡を以って衆を制す彼の能力と武器は、その存在だけで戦場の劣勢を瞬時に覆すほど驚異的だった。
増援できない苦しい状況の中、衛星伝いで情報を手に入れた彼が登場したのだ。
しかし、今回ばかりはもう手遅れかもしれない。
すぐ目の前に敵部隊が迫っているこの状況では……
この時点で戦果を挙げたとしても、多くの犠牲を払うことになるだろう。
「オービタルディザスター(Orbital Disaster)を要請いたします」
私は一瞬、何のことか分からず記憶を辿り、衛星による特殊攻撃作戦の名を思い出した。
セブン・シャーズによって開発された武器だということまでは知っていたが、存在するかも知らなかった武器である。
万一に備えて通達を受けていたので、この作戦を実行する際に取るべき行動は分かっていた。
要請された信号を伝達すると、融合炉が目標ポイントに落下する。
その後時間経過とともに融合炉が爆発するため、味方を安全なところへ避難させなくてはならない。
しかし……この作戦にはデメリットもある。
融合炉が爆発するまでの間、敵軍も退避できてしまうということ。
敵軍の動きを牽制することで効果を得られる作戦なのだ。
大勢の敵を抹殺できる武器ではあるが、その分条件は厳しい……
私は勝利のため、ある程度の犠牲を覚悟した。
しかし、そんな私の覚悟もむなしく、彼は私たちに即刻退却することを要請した。
「そんなことをしたら、融合炉の爆発時間の調整が……」
私の心配をものともせず、彼はレールガンを取り出し、地面に固定し始めた。
彼の無言の意思表示に応え、私は部隊を退却させるしかなかった。
融合炉が爆発するまでの間、1台のレールガンでどう時間稼ぎをするつもりなのか気になったが
考えるのをやめ、部隊とともに戦場を離脱した。
……私は戦場の外から驚くべき光景を目撃したのだ。
雲の隙間から落下する巨大な融合炉。
融合炉の内部が開き、稼働を始めたその瞬間、
眩しいレーザー光線が融合炉を貫いたのだ。
魂飛魄散した敵軍は何が起こっているのが知る由もなく、
融合炉の爆発とレーザーの連鎖反応で一瞬にして砕け散ったのだ。
あの短時間に起こった出来事から、彼の並外れた瞬発力と豪快さを改めて知らされた。
突きあがる光源の爆発を見つめ、黙々とレールガンを装填する彼のうしろ姿を、私は一生忘れることはないだろう。
- ウェスピース軍将校の記録書から
真メカニック
埃っぽい闇に一筋の光が差す場所。
他のところに電力を消費するのが惜しいのか、一点にだけ集中する光のもとに男の影が見える。
寂寞とした空間で何かを弄っていた男は、口元に笑みを浮かべた。
男の表情に同調でもするように、光を照らしていた丸いロボットが機体を震わせた。
厳密に言えばそのロボットも自我を持っていたため、喜びの震えなのかもしれない。
男の傍で光を照らすロボットの名はHS-1。
男に仕える2機のロボットのうちのひとつである。
もう1台のロボットは……ガラクタのように光の下で寝そべっている。
落ち着かない様子でしきりに浮かびあがり動き回る他の1機と違い、男の表情からは疑いも不安も見られない。
天界の科学力とマイスターの知識、そして彼が見聞きした経験。
繰り返される挑戦と失敗から得たヒント。
全てが糧となり、完成した結合体であるため、疑う余地などなかった。
その時、ヴァイオリンの弦を弾くような音とともに寝そべっていたロボットが点灯した。
男と浮かんでいたロボットが息を呑んだ。
電源が入った黒いロボットのLED画面にアップグレードされたプログラム名が表示された。
「System Of Progressive High-tech Interactive AI...Upgrade complete」
男が作ったS.O.P.H.I.AがHS-1に搭載される記念すべき瞬間だった。
眠りから覚めたようにLED画面を点滅していたHS-1がゆっくりと浮き上がった。
この成功を喜ぶにはまだ早い。込み上げる興奮を抑える。
男にはS.O.P.H.I.Aをプログラミングした決定的な理由があったのだ。
「仲間」とより濃い闇の方に足を踏み入れた男が頷くと、オーダーを認知した「仲間」が宙に浮き上がった。
すると、電流が発生しスパーク音とともに闇の中から光の球が現れた。
照明が下の方から巨大な何かを照らした。
家一軒、いや城砦ほどの大きさのもの。
それは腕と脚があり分厚い装甲に覆われていた。
神話に出てきそうな巨大で威容を誇る存在。
この巨人を深い眠りから覚ます鍵が男の手に握られているのだ。
これは「GW-16 バルトシュタイン」を初めて起動した3日前の様子である。
真スピッドファイア
そなたの活躍は毎度のこと、わらわを驚かせてくれる。多くの手柄を立てたと聞いたぞ。
常に最前線で皆を率いる指揮官と呼ばれているとな。
単なる世辞ではなさそうだ。
ブラックローズ団の指揮官という事実を取っても、おぬしの実力は証明されているのだからな。
卓越した能力を持つそなたに、ひとつ頼みたいことがあるのだ。
わらわは一連の事件から、情報の大切さを痛感させられた。
情報があったなら、カルテルやアントンにむざむざとやられることは無かったはずだ。
二度と同じことを繰り返さぬよう、わらわの目となり、耳となってくれる組織が不可欠なのだ。
戦略情報局がその役割を担ってはいるが、彼らはジベン皇国という囲いから抜け出せずにいる。
わらわ直属の部隊である皇女の庭園も同じだ。
ゆえに天界とは関連を持たず、どの者ともしがらみのない者。そして、外部に対しての見識の広い者の助けを必要としている。
そなたがその役目を担ってくれないか?
もちろん、そなた1人に任せるわけではない。
再集結したセブン・シャーズが発明した新たな技術を取り入れた、新設部隊があるのだ。
現在、戦略情報局に所属しているが、その部隊は情報局や他の誰からも命令を受けない独立した部隊なのだ。
その名は、エターナルバスター部隊。
その昔、天界を守るために作られた団体、エターナルフレイムの命脈を継ぐ部隊である。
そなたにその部隊の指揮を取ってもらいたい。
ただし、部隊を率いることになれば、今そなたに任命されている職責は全て剥奪される。
全ての名誉を手放さなくてはならない、ということだ。
先にも述べたが、天界と関連を持たないということを証明するには、致しかたない決断なのだ。理解してくれるか。
そのような条件であっても、わらわの要望に答えてくれるのであれば、その印となる紋章を付けてやろう。
そなたのために新たに配属された隊員たちが迎えに参るからな。
では健勝を祈るぞ。
- 天界から来た書信
真アサルト
「まったく……最新の武器に、これまで敵から手に入れた戦闘データまで?
エルロックスに続く新しい艦艇でも作る気かい?」
「もっと強力な技術が必要なんだよ」
画面の向こうのメルビンは、相変わらず片手で顎を支える姿勢のままで呟いた。
いつも通りの、気乗りがしないような表情だった。
「いくらなんでも、残り5人全員の力を借りるなんて……
自分の個人的な研究にのめり込みすぎじゃないかい?」
「個人的な研究じゃない」
ぐっと重みを増したメルビンの声が、ホログラムから放たれる。
メルビンを長い間見てきたメリルは、彼の瞳がいつもよりギラギラしていることに気付いていた。
「……ジゼルのせいかい?」
重い沈黙が二人を取り巻く。
メリルの視線を避けて、しばらく窓から空を眺めていたメルビンは
しばらく経ってから真面目な表情で頷いた。
「セブン・シャーズ(Seven Shards)の件は、セブン・シャーズの中で片付けないと」
メリルを真っすぐ見つめるメルビンの目を見つめ返しながら、ふと自分の知るある男の眼差しを思い出した。
明確な目標とそれを実現する自信に満ちた眼差し。
信念に満ちた者たちの目にはどこか似たところがあった。
彼女はため息をつくように言葉を吐き出した。
「ナエンとフェルールは私が説得する。残りは自分で連絡してみな。
若い奴らを相手にするのは疲れるんだ」
「ばあさん、恩に着るよ。それで十分だ」
いくつか頼みごとを言って通信を切ろうとしたメリルは
ふと思い浮かんだ疑問をメルビンにぶつけた。
「ところで……そんなとんでもない技術を、ひとりの人間が操れるかね?」
「こいつならできる。それに、この力をしっかりコントロールできるようになれば……」
線を引いたようにメルビンの口元に鮮明な微笑みが描かれた。
「敵は『絶望』(Desperation) そのものだと感じるはずだ」
以上、男ガンナーの真覚醒ストーリーでした!
次回は女ガンナーの真覚醒ストーリーを公開します。お楽しみに✨
GMフォルテでしたヾ(゚ω゚)ノシ