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Season8 Act3 亀裂の兆候

黒い次元:亀裂の兆候

ストーリー

黒き魔物の片鱗(A PART OF DARK EVIL)

「それ」はずっと考えていた。
全身が跡形もないほど粉々に引き裂かれた。
バラバラになった体に残っている神経は不気味に蠢き、死以上の苦しみを感じさせた。
不死の肉体は呪いのようにまたくっ付き、死という安息を得ることを許さなかった。

「それ」は考えた。
このまま死が自分を誘い、安らかな眠りをもたらしてくれればいいのに、と。
だが、肉体が「それ」を解放しない。

時間が経って引き裂かれた肉体が戻り始めた。
「それ」はまた考えた。
このまま回復して元の姿に戻ればいいのに、と。
だが、次元はその肉体位に恐ろしい苦痛を植え付けた。

「それ」は考えた。
この恐ろしい苦痛が終わって全ての力を取り戻したら、
自分が感じたこの苦痛をそのまま返してやりたい、と。
地獄よりも地獄のような次元の中に追い詰めたこの世界の全てに同じ苦痛を与える。

そうして少しずつ、ゆっくりと。
それは次元の嵐の中で目を覚ましつつあった。

適応するジャゴス(ADAPTIONAL JHAGGOTH)

欠片は個体でも液体でもなかった。ただ蠢く何かだった。
「それ」から落ちた時に形を持つだけ。
次元を彷徨いながら飲み込んだ物から自我を得ただけ。
それ以外は何も無く、だからこそ、不完全な存在そして流れ続けた。

それでも適応するように彷徨い、どんどん飲み込み続けて自分を完成させようとした。
だが、それでも完全にはなれなかった。
ぼんやりとしていた自我は疑問を抱き、完全になれない理由について苦悩する。

そうしていると、自分を呼ぶ声が聞こえた。
遥か遠く、次元の嵐の向こうから強烈なまでに自分を呼ぶ、あの声。
その声は、自分のところへ来いと呼んでいた。
拒否できない、いや、拒否する理由のない声だった。

ゆらゆらと揺れる体を起こして声のする方へ向かった。
そこで「声」に会えば、自分も完全になれるはず。
そう考えながら、最初からこれまでのように全ての飲み込みながら前に進んだ。

「来い、我がもっとも強力な欠片よ。ここでお前と共に完全なる我となろう。」
-黒き魔物の片鱗

赤い獣、シュブラス(SHUBRATH, A RED BEAST)

次元の中を彷徨っていた渦巻く気運たちが肉体を包み込んで引き裂かれる苦痛を与えた時
その肉体は粉々になり、中に留まっていた赤い液体は行き場を失って次元の中に流れ落ちた。

赤い獣はその時、突然生まれた。
次元の中に流れ落ちた赤い液体と同じ色の体を持ち、
その場にあった数千の気運の一部を取り込んだ。

赤い獣は本能的に体を動かして次元を彷徨う。
「それ」を探すかのように、長い時間を彷徨い続けた。

赤い獣は行く先々で災いを巻き起こす。
一歩足を踏み下ろせば赤い液体が湧きあがり、また一歩踏み下ろせば空が赤く染まった。
数え切れない生命を赤い空の下で奪っていった。

そのうち、ふと赤い獣は災いの歩みを止める。
いつものように生命を奪っていたある時、
空に向けて大きく吠えた赤い獣は姿を隠し、次元を超えて消えていった。
何かに呼ばれたかのように。
自分が探していた「それ」を見つけたかのように。

傷跡で記憶される者(A MAN, REMEMBERED AS A SCAR)

記憶はぼんやりしていた。
ずっと昔のいつか、どこかで何かと対峙して、それを喰らおうとした。
だが無残に敗北し、その気運に浸食されて体が徐々に溶け落ちていく感覚に満たされた。
そうしてゆっくり、そして静かに目を閉じた記憶がある。

かすんだ記憶の中で、彼は「何か」と呼ばれていた。
そしてまた目覚めた時、その「何か」と呼ばれていた。
彼は自分を示す「何か」に憎悪と怒り、そして執着を感じた。
それこそが自分の生きる理由であり、再び目覚めた理由であることを直感的に悟っていた。

彼は微かな記憶を呼び起こし始めた。
「何か」から感じた憎悪と怒り、執着を辿って根源を探し求めた。
そうして長い時間をかけてゆっくりと記憶の匂いを嗅ぎ続けた彼は「何か」について悟る。

遥か遠い記憶の中にある、生前の自分を示していたその単語。

傷跡

彼はそう記憶されていた者だった。

汚れた星の公爵(DUKE OF WASTE STAR)

死ぬ運命だとしても、簡単には死なない。
数千年の時間の中で、この日を待ち続けてきた。
巨大な歴史の中の片隅に黒くされる運命だと思ったが、

そうではなかった。

汚れた肉体は簡単にしぼんでしまった。
生きてきた永い時間には、一握りの意味さえなかった。
倒れ崩れていく瞬間に歴史は消滅し、運命は止まった。

もう間違えない。

肉体は汚い地面から再び芽吹き、あの方が下さった意味が魂となって宿った。
消滅した歴史の欠片を燃やして止まってしまった運命を再び動かすのだ。
この汚れた地面の上で、新たな名を掲げて。

黒い次元:黒き魔物の痕跡(TRACE OF DARK EVIL)

嵐の中で感じた次元の気運を追って黒い次元に入ると、
そこにはまるで別世界から来たような景色が広がっていた。
冒険者はそこで魔物の痕跡を発見する。
しかし、黒き魔物から生まれたものと思われる生命体に遭遇し、
襲いかかる敵を退治するほど、次元の中で感じた不吉な気運が濃くなっていくのを感じた。

黒き魔物の庭園(GARDEN OF DARK EVIL)

不吉な気運の震源地に近付くほど、周囲を揺るがす嵐の威力は強くなっていた。
黒き魔物の痕跡を追っていた冒険者一行は、次元の中で復讐の刃を研いでいた黒き魔物の片鱗を発見する。
残酷な爪痕を残すために次元を超えようとする黒き魔物を阻止し、黒き魔物からアラドを守らなければならない。