エピソード

いまアラド大陸で何が起きているのか…

エピソード20.第1章/特別な龍

私は特別な存在だ。

偶然と偶然が全てであるこのくだらない
宇宙が吐き出した汚い吐瀉物の中でせめて
使えるものは私しかいない。

私は龍として生まれ、
生まれながらに喧嘩が強く、いくつか才能を持っていた。

しかし、その程度で私が特別だと言っているわけではない。
私は自ら自分自身は特別ではないと思いながら生きている
この世の全ての存在らを軽蔑する。

塵ほどの小さな可能性であっても、一つの命が生まれることでこの宇宙は違う宇宙に変われる機会を得ることとなる。
しかし、彼が自分の宇宙を忘れてしまうと、宇宙も彼を忘れてしまう。
そのような宇宙はもう蛆虫らが生息する水っぽい生ゴミにも及ばぬ。
私はそのような宇宙を始末するのを楽しんだ。出来る限り残酷で徹底的に、
それこそ宇宙が私に許した特権でもあったが、初めて彼の宇宙が意味を持つ瞬間でもあった。

ますますより強い者たちが現れたが変わることは何一つなかった。
私は強かったから。
この宇宙の生命体たちが見るだけで震え上がる龍族の中でも私は最も強かった。

実はそれに気づいたのはもう相手する者が誰もいなくて自然的に龍たちの王になってからだが。

爆龍王万歳。

私自ら信じているだけ、やっと彼らにも私は特別な意味を持つように見えたが、
おかしいことはもう私自身が自分に何の意味も付与できていないことだった。
いくら皆が様々な創造的な方法で私を褒めたたえても、もう私の生に創造的な側面はなかった。
いざ私の宇宙は枯れていたのだ。

爆龍王万歳。

お黙り。

爆龍王万歳。

今日も数十名の民たちを殺した。昨日よりもう少し多く殺した。
怒りのせいでも面白くてやったわけでもない。とは言え、不機嫌だったわけでもない。
強いて言えば、それだけが私が生きていると感じさせてくれるから。

しかし、今は完全に服従するふりをしている彼らだが、私が老いぼれて弱くなる時だけを待っているだろう。その時になったらカを合わせて襲いかかってくるだろう。そして、私の頭を体から切り落とし、あちこちを引きずり回して侮辱するだろう。何十年も。とても美しい最後だ。

私力にの世に生まれた理由はこのためだったのか?
私の頭に唾を吐きたがる奴らを満足させるために?

彼女が現れたのはその頃だった。

不思議にも私から感じられる気運と似たようなものが感じられる彼女。
今にも泣き出しそうな、だが、全てを知っていそうな目をしている彼女。

彼女は何も言わなかったが私は今すぐに彼女に付いて行かなければならないことが分かった。
私は直感した。彼女が向かうところに私の未来があることを。
私の特別な-いや、特別でなければならない運命がそこにあることを。

[ヒルダ]。彼女の名だった。

残念ながら彼女はすでに私の名を知っていたようだった。

正式に紹介したかったのに…。[バカル]だと。

ライブラリ