エピソード

いまアラド大陸で何が起きているのか…

エピソード15.ロージーの歌

暗闇の夜、月の光すら入ってこない深い峡谷。
そして千年もの間、積りに積って考えることができるようになった雪の塊がありました。

“光が恋しい。”

そしてたまに、とてもたまに
一差し、一差しの光を、奥深いところに集めていました。
狭くて長い峡谷には冷たく吹いてくる風がありました。
そんなにも自分のものにしたかった切ない風も、
千年もの間積りに積って冷たい地の上に自ら姿を現し、
長くて寂しかった雪の饗宴は真っすぐで輝く道を持つようになりました。
そしてその下で静かに息をしていた雪の塊は、
千年もの間、少しずつ積もっていた雪の塊は、
冷たいけどくすぐったかった風が忘れられずに、
少しずつ地を突き抜いて上に上がり、再び風と共に輝く柱を作り、
峡谷には純粋に全てを映す氷の柱が一つ、二つ起つようになりました。
氷の柱は寂しかったのです。
伸ばしても届かない光がとても恋しくて、一人で大事にしていようとしただけなのに、
いつまでも消えない光を抱いて上を通っていた冷たい風を抱くようになった時、
初めて向こう、手があれば届きそうなところに自分と同じく寂しい柱
を見つめるようになりました。
長い間、欠片が一つ、二つ集まって光を抱く夢を見て、他の欠片と触れ合い、
持つことで有することを知り、隙間は埋めることができると気づきました。
寂しさは寂しさと共にすることで消えるようになり、その存在の喪失はもうーつの傷みでした。
欲は終わりがないもので、柱は千年もの間いつもやってきたように、
その寂しさを心の奥深いところにしまっておいて雪を、風を、水を、
少しずつ積み上げて薄いけど長い屋根を作っていきました。
ーつの結晶が落ちました。
そして何千年も前に予定されたその場所に行く前に、見えない冷たい亀裂に挟まれてようやく一つの手を完成させ、氷の柱は喜びのあまり、このように涙を流しました。
涙は長い年月を待たされただけに細くて途絶えない流れを作りました。
それから太古に神が創り出した流れに身を任せて少しずつ下へ、下へと流れていき、
そして千年もの時を経て、大昔地を突き抜いて上がってきた雪の塊は、
本来自分のいた亀裂に戻ってくるようになってもう二度と旅立つまいと決めました。
他の何よりも堅くて透明だった涙は、寂しさに耐える方法はその終わりでしか見つけられないことを知って、一人で存在する方法を知りました。
しかし、もうこれ以上は一人で存在できないことに再び気づいた時、
持っことで有することを知るようにはなりましたが、隙間は埋めることができないことを知りました。
そして数えられないほどの時が流れ、冷たい風を暖かく噴き出すことができる小さな生命体がその上を通る夢を見て、その息吹は風と触れ合い、素早く、
そして堅い夢の結晶を作っていきました。
雪の塊は風のように訪れてきた少女を風が吹く音だと思いました。
そのようにとどまるその音を、風が吹いてくるその音をロージーと呼びました。

ロージーは止まることなく吹いてくる風のささやきであり、消えることのない幼い夢のとどまり、数百、数千の夢が居場所を作って、部屋を作って、べッドを作って、器を作って、靴を作って、その上に色を塗ることができました。

そして千年もの時が流れ夢は夢自ら存在し、考えることができるようになり、
自分のいたところに永遠に存在するために自分の宮殿を作りました。

白い空からこぼれ落ちる真っ白な花の結晶たち、
私の夢と触れ合い、形を成し始め、
もうこれ以上意味もなく染まるのではなく、透明な宮殿を建てよう。

我慢できないくらい尊い
とどまることないから恋しい
白くこぼれ落ちて切ない
氷の女神が私と共にいるから
思わす、歌を口ずさんでしまう
耳を澄ませば聞こえるよ、私の歌が
深く目を閉じれば見えてくるよ、私の姿が
夢の中のような冷たい君の手に
甘く凍りついて眠りたい

白くて甘いこのメロディーが永遠に続くことを知っている雪の塊は、通りすがるロージーを振り向かせるためにさらに美しいメロディーを作り出しました。
暖かいメロディーは自ら溶かすことを知って、夢の中のような冷たくて甘い氷の歌をロージーに宿らせます。

ロージーの歌はこのように始まりました。

ロージーの歌は一つの雪の結晶から長くて寂しい峡谷が存在する限り
ロージーの歌は光を持ちたい渇望から冷たくて美しい雪花が舞い散る限り
ロージーの歌は寂しければ寂しいほど寂しくなろうとする風が存在する限り
ロージーの歌は始まりました。

少女の夢が存在する限りロ一ジーは歌い続けます。

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