エピソード

いまアラド大陸で何が起きているのか…

エピソード5.狩人ドルフ

ここはヘンドンマイアの街にある雑貨店。
狩人ドルフの娘、カンナが一人で店番をしている。

「カンナ~きれいで可愛い私のカンナ~どこにいるんだ~い?」
「パパおかえりなさ~い。わたしここにいるよ~」
「おっと、私の可愛いカンナ。ここにいたのかい。どれ、抱っこしてあげようじゃないか」
「いけません。パパってばまたおヒゲでジョリジョリするあごを擦りつける気でしょ」
「しないしない、約束するって。さあこっちへおいで」

ドルフはカンナにヒゲを擦りつける。
「ううう~、パパ、しないって約束したじゃないの~」
「ハハハハハ、うちの娘は大きくなったねえ。体重も結構増えたみたいだね」
「もうパパってば。女の子に体重が増えたなんて失礼だよ、失礼~」
「ハハハハハ、ごめんごめん」
「ねえパパ、今度は長く泊まるんでしょう?」
「うん、もちろんさ。可愛いカンナと一緒にいたいからね。
ああ、そういえば息子たちはどうしたんだい?」
「兄さんたちは朝から狩りに出かけてるよ。
みんな狩りが下手だから全然捕まえられないのに毎日行くの」
「そうか。じゃ、息子たちが帰って来るまでパパのことを手伝ってくれないかな」
「は~い、パパ」
「それじゃカンナ、2階の屋根裏部屋にパパの腕みたいに厚い本がある。
その中で鋼鉄と書いてある項目から短剣を捜してそのレシピを抜いて持って来てくれないかい?」
「うん、わかったわ、パパ」

カンナはレシピを取りに2階に行く。
ドルフは難しい顏をして考え込む。

ドルフは今回の狩りで偶然モンスター・タウに会ったが、
大人しい種族であるはずのタウがどういうわけか自分に襲い掛かってきたので大事にしていた短剣をタウに突き刺して何とか逃げ伸びていた。

「う~ん、一体何で急にタウが暴れたんだろう?わからないなぁ。
普段は大人しいやつらなのに、どうしてしまったんだろう。
ひょっとしたら大変な目にあっていたかも……
ふう、とにかくまた短剣を作っておかないとなあ。
あの短剣がなかったら今頃は……」
「パパ、これでいいかな?「短剣合成法」って書いてあるのでいいの?」
「うん、そうこれだよ。さすがは私の娘だ。よく探してくれたね」
「エへへへへ。それじゃレシピを見ようよ。
え~と、鉄のかけら2個と金具、それから炉がいるのね。
うん、全部あるわね。パパ、頑張ってね」

ドルフとカンナは一緒に短剣作りの作業を始める。

「やっと終わった。やれやれ、大変だね」
「はいパパ、これ水です」
「ありがとう。いやあ~冷たくて美味しい!やはりうちの娘は最高だな!」
「でもパパ、どうして短剣を新しく作ったの?元々あったのはどうしたの?パパ、いつも大事にしてたじゃない」
「いやあ、狩りに行ってる時に泉で水を飲んだんだけど、その時うっかりしておいて来ちゃったみたいなんだよ。
ハハハハ、歳を取ったせいか物忘れをしちゃったみたいだ。アハハハハ~」
「もうパパってば」
(タウが凶暴になったのがたまたまだったらいいけどね。
でもあのタウに会ったのはグランプロリスの近くだから……
もしかするとこの辺りにも被害が出るかもしれないな……)

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