エピソード

いまアラド大陸で何が起きているのか…

エピソード2.泥濘の女王ぺリス

あたしの名前はペリス。
歳はまあ、そこそこ世間のことだってそれなりに知ってると思う。
あんただって知ってるだろ?
特に未来のことは考えちゃいないね。
今日が楽しけりゃそれでいいんじゃない?
ガキの頃から一人で育ったから失くす物なんてないし、
特別欲しい物だってないね。
ただ、ゴチャゴチャ騒がしいやつが減ってくれりゃいいとは思うけどさ。

あたしの住んでるべルマイアはデロス帝国と戦争をやって負けたのさ。
でも正直、あたしは国がどうなろうと知ったこっちゃないね。
どうせあたしみたいに下水道で暮らす人間にとっちゃ、誰が国を治めようが変わりゃしない。
しっかし、デロスのやつらは何か悪いものでも食ったのかね。
どう考えたってやりすぎさ。街で野宿するのも禁止だとさ。
あたしらみたいな人間は全然仕事にありつけないんだ。
金のあるやつらがあたしらを虫ケラ扱いしやがるせいだ。
金も住む家もなけりゃそこらで寝るしかないだろ?
だってのにデロスのやつらがそれも禁止しやがった。あの連中、いつか絶対ヒドイ目に遭わせてやる!

……おい、お前今あたしのこと笑ったろ?
この野郎、言っとくが一日に何十人と死んでく貧民街じゃあたしは図太いことで有名なんだよ。くだらない心配はすんな。
こっそり運動するだけだって。こう、一発ボカっとな!
ハッ、帝国のやつらなんざ一発で伸びちまうから張り合いがないんだよ。
あんなやつらにうちの国にいる魔法使いの年寄りは負けたのか?
ケッ、どうせ家ん中にこもって戦ってなかったんだろうさ。
あたしくらいになれば、どこに行ったって平気さ。

ん?何?ずっとこんなところに住むつもりかって?
そうだねぇ、ちょっと帝国のやつらを殴りすぎたかな。
あいつらがこのまま黙ってるわけもないし、いっちょよそへ行ってみますか。

え?どこに行くのかって?いちいちうるさいやつだな。
実はグランプロリスに行って見るつもりだよ。
そこへ行けば宝物やら魔法の武器やらがたくさんあるって話さ。
この前、二番街のオンボロ小屋の屋根裏に住んでいるネドバルのおっさんの息子もそこで宝石を取って来たんだと。
じゃあ、あたしもちょっと行って金塊でも見つけようかと思ってね。

どうよ?あたしの実力を見るのと金儲けも兼ねてグランプロリスに一緒に行ってみない?
この頃じゃ何か変な格好のやつらがいっぱいで面白いとかいう話も聞いたし、その見物でもいいだろ?
なあ、行こうってば!

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